【7月30日 AFP】20世紀の最も影響力のある映画監督の1人、スウェーデンのイングマール・ベルイマン(Ingmar Bergman、89)が30日、スウェーデンのフォーレ(Faro)島の自宅で亡くなったことを、娘のエヴァ(Eva)さんがスウェーデンの通信会社TTに伝えた。

 ベルイマンは1957年の『第七の封印(The Seventh Seal)』や、最優秀外国語映画賞(Best Foreign Language Film)を含む4部門でオスカーを獲得した1982年の『ファニーとアレクサンデル(Fanny and Alexander)』などで世界中から称賛された。

エヴァさんの話によると“穏やかに”息を引き取ったという。

 スウェーデンでは主に劇作家として知られていたが、作品には愛、孤独、苦悩、神との繋がりが描かれるなど特にテーマが重要視されるため、一般人にとって疎遠に感じられ、まるで神経症患者であるかの様に祖国では非難されていた。

 多くの熱狂的映画ファンにとってベルイマンは、50年、60年代においてフェデリコ・フェリーニ(Federico Fellini)、ルイス・ブニュエル(Luis Bunuel)、ジャン・リュック・ゴダール(Jean-Luc Godard)らに勝る最も優秀な映画監督であった。

 1945年に映画『危機(Crisis)』を初監督したが、世界的に称賛されるようになったのは1956年のカンヌ映画祭(The Cannes Festival)で『夏の夜は三たび微笑む(Smiles of a Summer Night)』が上映されてからだった。

 1957年の『野いちご(Wild Strawberries)』で宗教が失敗だったと分かった時の人間と社会の関係における心理的なジレンマと倫理問題に取り掛かった同監督は、『第七の封印』、『処女の泉(The Virgin Spring)』、『Through a Glass Darkly』、『冬の光(Winter Light)』、『沈黙(The Silence)』などで宗教信仰への拒絶を描いており、人生には“悪運”がつきまとうものだ、という確信だけが残されている。

 1976年にスウェーデン税務当局から告訴されたベイルマンは、その後ドイツへと移り、ミュンヘン・レジデンツ・シアター(Munich Residenz Theater)の演出家を務めた。そして6年間の亡命を経てスウェーデンへ戻り、生涯を過ごした。

 また、同監督は公には“引退”したことになっているが、TVドラマの監督やビレ・アウグスト(Bille August)が監督を務めた1992年のカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを授賞した自伝映画『The Best Intentions』をはじめ、映画の脚本などを執筆していた。(c)AFP

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