【7月27日 AFP】8月29日から9月8日まで開催されるカンヌ、ベルリンと並ぶ世界3大映画祭の一つ、第64回ベネチア国際映画祭(64th Venice International Film Festival)のラインナップが26日、ローマで行われた記者会見で発表された。

 コンペティション部門のノミネート作品には、ジョージ・クルーニー(George Clooney)、スーザン・サランドン(Susan Sarandon)、ブラッド・ピット(Brad Pitt)などが主演を務めた映画を始め、ウッディ・アレン(Woody Allen)監督や金獅子賞の受賞監督である李安(Ang Lee)の作品が並んだ。

 同映画祭ディレクターを務めるマルコ・ミュレール(Marco Mueller)監督は「作品選出の基準は、オリジナリティーと意外性」と話し、候補作品を3000本以上は観たと話す。

 オープニングは、作家イアン・マキューアン(Ian McEwan)のベストセラー小説『贖罪(Atonement)』を脚色し監督ジョー・ライト(Joe Wright)が指揮を執った映画映画『Atonement』が飾る。同映画はライト監督の『プライドと偏見(Pride and Prejudice)』でも主演したキーラ・ナイトレイ(Keira Knightley)が主役を演じている。

 他にはマイケル・ケイン(Michael Caine)、ジュード・ロウ(Jude Law)が主演するケネス・ブラナー(Kenneth Branagh)監督作品『Sleuth』やケン・ローチ(Ken Loach)監督の『It's a Free World』も並ぶ。

 前作『ブロークバック・マウンテン(Brokeback Mountain)』で2005年度の金獅子賞を受賞した李安監督のスパイ推理作品『ラスト、コーション/色・戒(仮題、Se, JieLust, Caution)』もコンペティション部門にノミネートされた。

 実在の画家レンブラント(Rembrandt)の有名な作品を中心に描かれた、ピーター・グリーナウェイ(Peter Greenaway)監督の作品『夜警(仮題、Nightwatching)』や、クエンティン・タランティーノ(Quentin Tarantino)が主演する三池崇史監督の『スキヤキ・ウエスタン・ジャンゴ(Sukiyaki Western Django)』もリスト入りした。またタランティーノは、30作品を取り上げたマカロニ・ウエスタン回顧特集の司会も務めることが決まっている。

 コンペティション部門の全22作品がプレミア上映となり、もう22作品がオリゾンティ部門、残り13作品がコンペティション外の招待作品のとして上映される。また、米国映画19本中15本を含む出品される57作品中、6作品以外はワールド・プレミア上映となる。

 他に英語を主言語とする映画では、英国映画が10本ラインナップされた。

 このことについてミュレール監督は「米、英国の作品はオリジナリティーに溢れ、革新的だ。そして何よりも映画界のスターたちによって作られている」と話している。

 ジョージ・クルーニーはトニー・ギルロイ(Tony Gilroy)監督の『Michael Clayton』に主演、ブラッド・ピット(Brad Pitt)はアンドリュー・ドミニク(Andrew Dominik)監督の『The Assassination of Jesse James by the Coward Robert Ford』で主役のジェシー・ジェイムズ(Jesse James)役で出演している。

 米兵によるイラク人の若者への暴行や殺人を描いたブライアン・デ・パルマ(Brian De Palma)監督の『Redacted』や、軍から脱走した息子の行方を探す父親を演じるトミー・リー・ジョーンズ(Tommy Lee Jones)主演、ポール・ハギス(Paul Haggis)監督の『エラの谷(仮題、In the Valley of Elah)』のように、イラク戦争からインスパイアされた作品もある。

 コンペティション外ではロンドンを舞台にしたウッディ・アレン(Woody Allen)監督の『Cassandra's Dream』、クロード・シャブロル(Claude Chabrol)監督の『La Fille Coupee en Deux』、北野武(Takeshi Kitano)監督の『監督・ばんざい!(Glory to the Filmmaker!)』などが上映される。

 『秋菊の物語(The Story of Qiu Ju)』(1992年)と『あの子を探して(Not One Less)』(1999年)で金獅子賞を受賞した中国の監督チャン・イーモウ(Zhang Yimou)がコンペティション部門の審査員長に決定しており、フランスのキャサリン・ブレイラ(Catherine Breillat)監督、2006年に『新世界(Nuovomondo)』で銀獅子賞を受賞したイタリアのエマヌエーレ・クリアレーゼ(Emanuele Crialese)監督、メキシコのアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ(Alejandro Gonzalez Inarritu)監督、オランダのポール・ヴァーホーヴェン(Paul Verhoeven)監督が名を連ね、75周年を迎える今年度の審査員は50周年のときと同じく全員監督となっている。

 なお1932年に第1回目が開催された同映画祭は、第二次世界大戦(World War II)中は開催されず、数回はコンペティション部門なしで開催されている。

 また40年のキャリアで15本もの作品を手掛けたイタリアのベルナルド・ベルトリッチ(Bernardo Bertolucci)監督に栄誉金獅子賞の授賞が、米国のティム・バートン(Tim Burton)監督に生涯功労賞の授賞が決まっている。(c)AFP