<第60回カンヌ国際映画祭>ビッグネームより将来性?今年度のノミネート傾向
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【5月28日 AFP】12日間にわたって開催された第60回カンヌ国際映画祭(60th Cannes Film Festival)が27日に閉幕した。映画界のビッグネームも登場した今回の映画祭だったが、栄光に輝いたのは知名度のあまり高くない監督たちの内省的な作品だった。
■パルム・ドールにはルーマニアのクリスチャン・ムンギウ監督
60回目という節目の年にパルム・ドール(Palme d’Or)を獲得したのはルーマニアのクリスチャン・ムンギウ(Christian Mungiu、39)監督作品『4 Luni,3 Saptamini si 2 Zile』。
コーエン兄弟(Coen brothers)やガス・ヴァン・サント(Gus Van Sant)、クエンティン・タランティーノ(Quentin Tarantino)、エミール・クリストリッツァ(Emir Kusturica)ら、歴代受賞者を下しての快挙だった。
女優のジェーン・フォンダ(Jane Fonda)からパルム・ドールを受け取ったムンギウ監督は、授賞式後に報道陣に対して 「“あなたは本当の映画監督です”と認めてもらえたような、究極の表現です」と語った。
低予算で制作された受賞作は、監督にとって長編2作目。社会主義政権下のルーマニアで違法とされた中絶を軸に、個人の自由と疎外感を描いたもの。
■次点にあたるグランプリには日本の河瀬監督
パルム・ドールの次点にあたるグランプリを受賞したのは、河瀬直美(Naomi Kawase)監督の『殯の森(Mogari No Mori)』。悲しみを抱えた2人の心の物語を緩やかなタッチで描いた。河瀬監督は10年前、新人監督賞にあたる「カメラ・ドール(Camera d’Or)」を受賞している。
「人生には、さまざまな困難があり、苦しみや迷いの根源となるものがたくさんある。そんな時、私たちはお金や車や服などではなく、形のない何かに強さを見つけるのです」と河瀬監督。
■3位の審査員賞には注目の2作品
3位にあたる審査員賞には、2作品が選ばれた。イラン出身のマルジャン・サトラピ(Marjane Satrapi)とフランス出身のヴァンサン・パロノー(Vincent Paronnaud)監督が手がけた『ペルセポリス(Persepolis)』は、イラン革命を生きた少女を主人公にしたサトラピ監督の自伝的アニメーション作品映画。メキシコのカルロス・レイガダス(Carlos Reygadas)監督は、愛・死・運命をテーマに『Silent Light』を制作した。
■監督賞には米国のジュリアン・シュナベル
監督賞を受賞したのは、『Le Scaphandre et le Papillon(The Diving Bell and the Butterfly)』を手がけた米国のジュリアン・シュナベル(Julian Schnabel)監督。この映画は、全身不随になり、まばたきだけで執筆したELLE誌の元編集長ジャン・ドミニク・ボービー(Jean-Dominique Bauby)氏の手記を映画化した作品。
「私がこの場にいるようになるとは全く想像できなかった。なぜなら私は単なる映画のファンであり、映画監督になろうとは思っていなかったからです」とシュナベル監督は感想を語った。
■ビッグネームを抑えた主演男優賞、主演女優賞
主演賞では、『No Country for Old Men』のハビエル・バルデム(Javier Bardem)、『My Blueberry Nights』のジュード・ロウ(Jude Law)、『ゾディアック(Zodiac)』のジェイク・ギレンホール(Jake Gyllenhaal)やロバート・ダウニー・Jr(Robert Downey Jr.)らを押さえ、ロシア映画『Izgnanie(The Banishment)』に出演したコンスタンチン・ラヴロネンコ(Konstantin Lavronenko)が選ばれた。
主演女優賞は、韓国の『Secret Sunshine』に出演したチョン・ドヨン(Do-Yeon Jeon)が獲得した。授賞式でドヨンは「こんなに素晴らしい女優がそろったこの映画祭で、この賞をいただけるなんて、とても光栄」と語った。
脚本賞は、『Auf der Anderen Seite』のファティ・アキン(Fatih Akin)監督に贈られた。 また、60周年記念賞には、4年前に『エレファント(Elephant)』でパルム・ドールを受賞したヴァン・サント監督が選ばれた。
■注目はルーマニア・メキシコ・韓国
映画祭のアーティスティック・ディレクターを務め、コンペティション出品22作品を選んだティエリー・フレモー(Thierry Fremaux)氏は「将来性を念頭に置いて選ぶという我々の意図を反映した受賞結果になった」とコメント。
「ルーマニア、メキシコ、韓国という近年の映画界で最も活発な3国を、審査員は強調しました」
■招待作品は政治的色合い強め
コンペティション外招待作品には、政治的色合いの強い作品がそろった。マイケル・ムーア(Michael Moore)監督は、米国の医療制度を批判したドキュメンタリー『シッコ(Sicko)』を上映し、アンジェリーナ・ジョリー(Angelina Jolie)が主演した『A Mighty Heart』では、2002年にパキスタンでイスラム過激派に殺害された米ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)紙のダニエル・パール(Daniel Pearl)記者の事件が描かれた。(c)AFP
■パルム・ドールにはルーマニアのクリスチャン・ムンギウ監督
60回目という節目の年にパルム・ドール(Palme d’Or)を獲得したのはルーマニアのクリスチャン・ムンギウ(Christian Mungiu、39)監督作品『4 Luni,3 Saptamini si 2 Zile』。
コーエン兄弟(Coen brothers)やガス・ヴァン・サント(Gus Van Sant)、クエンティン・タランティーノ(Quentin Tarantino)、エミール・クリストリッツァ(Emir Kusturica)ら、歴代受賞者を下しての快挙だった。
女優のジェーン・フォンダ(Jane Fonda)からパルム・ドールを受け取ったムンギウ監督は、授賞式後に報道陣に対して 「“あなたは本当の映画監督です”と認めてもらえたような、究極の表現です」と語った。
低予算で制作された受賞作は、監督にとって長編2作目。社会主義政権下のルーマニアで違法とされた中絶を軸に、個人の自由と疎外感を描いたもの。
■次点にあたるグランプリには日本の河瀬監督
パルム・ドールの次点にあたるグランプリを受賞したのは、河瀬直美(Naomi Kawase)監督の『殯の森(Mogari No Mori)』。悲しみを抱えた2人の心の物語を緩やかなタッチで描いた。河瀬監督は10年前、新人監督賞にあたる「カメラ・ドール(Camera d’Or)」を受賞している。
「人生には、さまざまな困難があり、苦しみや迷いの根源となるものがたくさんある。そんな時、私たちはお金や車や服などではなく、形のない何かに強さを見つけるのです」と河瀬監督。
■3位の審査員賞には注目の2作品
3位にあたる審査員賞には、2作品が選ばれた。イラン出身のマルジャン・サトラピ(Marjane Satrapi)とフランス出身のヴァンサン・パロノー(Vincent Paronnaud)監督が手がけた『ペルセポリス(Persepolis)』は、イラン革命を生きた少女を主人公にしたサトラピ監督の自伝的アニメーション作品映画。メキシコのカルロス・レイガダス(Carlos Reygadas)監督は、愛・死・運命をテーマに『Silent Light』を制作した。
■監督賞には米国のジュリアン・シュナベル
監督賞を受賞したのは、『Le Scaphandre et le Papillon(The Diving Bell and the Butterfly)』を手がけた米国のジュリアン・シュナベル(Julian Schnabel)監督。この映画は、全身不随になり、まばたきだけで執筆したELLE誌の元編集長ジャン・ドミニク・ボービー(Jean-Dominique Bauby)氏の手記を映画化した作品。
「私がこの場にいるようになるとは全く想像できなかった。なぜなら私は単なる映画のファンであり、映画監督になろうとは思っていなかったからです」とシュナベル監督は感想を語った。
■ビッグネームを抑えた主演男優賞、主演女優賞
主演賞では、『No Country for Old Men』のハビエル・バルデム(Javier Bardem)、『My Blueberry Nights』のジュード・ロウ(Jude Law)、『ゾディアック(Zodiac)』のジェイク・ギレンホール(Jake Gyllenhaal)やロバート・ダウニー・Jr(Robert Downey Jr.)らを押さえ、ロシア映画『Izgnanie(The Banishment)』に出演したコンスタンチン・ラヴロネンコ(Konstantin Lavronenko)が選ばれた。
主演女優賞は、韓国の『Secret Sunshine』に出演したチョン・ドヨン(Do-Yeon Jeon)が獲得した。授賞式でドヨンは「こんなに素晴らしい女優がそろったこの映画祭で、この賞をいただけるなんて、とても光栄」と語った。
脚本賞は、『Auf der Anderen Seite』のファティ・アキン(Fatih Akin)監督に贈られた。 また、60周年記念賞には、4年前に『エレファント(Elephant)』でパルム・ドールを受賞したヴァン・サント監督が選ばれた。
■注目はルーマニア・メキシコ・韓国
映画祭のアーティスティック・ディレクターを務め、コンペティション出品22作品を選んだティエリー・フレモー(Thierry Fremaux)氏は「将来性を念頭に置いて選ぶという我々の意図を反映した受賞結果になった」とコメント。
「ルーマニア、メキシコ、韓国という近年の映画界で最も活発な3国を、審査員は強調しました」
■招待作品は政治的色合い強め
コンペティション外招待作品には、政治的色合いの強い作品がそろった。マイケル・ムーア(Michael Moore)監督は、米国の医療制度を批判したドキュメンタリー『シッコ(Sicko)』を上映し、アンジェリーナ・ジョリー(Angelina Jolie)が主演した『A Mighty Heart』では、2002年にパキスタンでイスラム過激派に殺害された米ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)紙のダニエル・パール(Daniel Pearl)記者の事件が描かれた。(c)AFP