<第60回カンヌ国際映画祭>変死した元ロシア諜報員のドキュメンタリー、カンヌで急きょ上映へ
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【5月23日 AFP】昨年11月にロンドンで毒殺されたロシア連邦保安局(FSB)元情報局員アレクサンドル・リトビネンコ(Alexander Litvinenko)氏のインタビューを含んだドキュメンタリー作品が、第60回カンヌ国際映画祭(60th Cannes Film Festival)で、閉幕前夜の26日に特別上映されることが急きょ発表された。
上映される作品は、ロシア人のAndrei Nekrasov、Olga Konskaya両監督による『Rebellion: The Litvinenko Case(反乱:リトビネンコ事件)』。Nekrasov監督はリトビネンコ氏を2年にわたり取材しており、2006年11月23日の死の直前まで、氏の病床でも撮影を続けた。
リトビネンコ元中佐はロンドンで亡命生活を送り、昨年英国の市民権を得ていたが、同11月に放射性物質「ポロニウム210」を大量に服毒され、不調を訴えてから3週間で急死した。同氏はウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)ロシア大統領に対する痛烈な批判者として知られていた。
特別上映を担当する配給会社Rezo Filmsによると、作品中のリトビネンコ氏に対するインタビューは約2時間で、ロシア政府に対する激しい批判も含まれているという。リトビネンコ氏は死の直前、自身に対する暗殺の試みの裏幕はロシア政府だとする告発文を書き残した。
英当局は22日、事件当日にリトビネンコ氏と面会したとされる旧ソ連国家保安委員会(KGB)元将校でロシア人実業家アンドレイ・ルゴボイ(Andrei Lugovoi)氏を容疑者と断定し、英国での裁判のために身柄を引き渡すようロシア政府に要請したばかり。
カンヌ映画祭のアーティスティック・ディレクター、ティエリー・フレモー(Thierry Fremaux)氏によると、報道陣のみ向けの数回の上映の後、26日夜遅くに一般向けに上映される。配給を担当するRezo Filmsによると、リトビネンコ氏の元妻、マリナ・リトビネンコ(Marina Litvinenko)さんもカンヌへ向かい、作品を鑑賞する。(c)AFP