【東京 12日 AFP BB News】遥か遠い昔、言葉は1つだった。人間たちは神に近付こうと、天まで届く塔を建てようとした。怒った神は言葉を乱し、世界はバラバラになった──旧約聖書の創世記に記された、バベルと呼ばれた街の物語だ。

 21世紀の今、この星全体が「バベル」のようになってしまった。世界のあちこちで争いが絶えないばかりか、もはや言葉が通じる隣人や親子でさえも心を通わすことができない。かつてない急速な発展を遂げた情報化社会に暮らしているのは、どこにも届かない想いを抱いてさまよう私たちの孤独な魂なのだ。

 「バベル(Babel)」は4言語が飛び交うなか、3大陸にわたる壮大なロケを敢行して、そんな私たちの魂を救おうとする衝撃のヒューマン・ドラマ。
 
雄大な自然を映し出すオープニングから息をのむ怒涛のラストまで、観る者もいっしょにバラバラになった世界をつなぐカギを探す旅に出る。
 
 バラバラにされた私達が、再びひとつにつながるには、どうすればいいのか? その答えを秘めた銃弾が今、放たれた。

 リチャード(ブラッド・ピット、Brad Pitt)は、妻のスーザン(ケイト・ブランシェット、Cate Blanchett)とモロッコを旅していた。ある哀しい出来事が原因で壊れかけた夫婦の絆を取り戻すため、アメリカからやって来たのだ。まだ幼い息子と娘はメキシコ人の子守に託していた。山道を行く観光バスの中で、事件は起こった。

 どこからか放たれた一発の銃弾が窓ガラスを突き抜け、スーザンの肩を撃ち抜いたのだ。
あたりに病院はない。リチャードはバスを移動させ、スーザンを医者がいる村へと運ぶが、溢れ出る血を止める応急処置がやっとだった。

 リチャードが救助に来ないアメリカ政府に苛立つ間、徐々に事件は解明され、やがて1人の日本人男性に辿りつく。
一発の銃弾は国境を超えて、孤独な魂を抱える人々をつなぎあわせていった…。

 銃を手にいれたモロッコの山羊飼いの少年、銃の所有者である日本人男性(役所広司)、彼の聾唖(ろうあ)の娘(菊地凛子)、そして子守の女がメキシコへと連れていった子供たち。
果たして、生命と魂の危険にさらされた彼らの運命は─?

 ブラッド・ピット、役所広司ほか、国境を超えたスーパーキャストたちによって描かれる今年最大の問題作。

 写真は映画のワンシーン。(c)AFP BB News/2006 by Babel Productions, Inc. All Rights Reserved.

★4月28日(土)全国ロードショー。