【ローマ/イタリア 7日 AFP】子供時代を題材にした感動的な話やブラックコメディーなどで知られる映画監督ルイジ・コメンチーニ(Luigi Comencini)氏が6日、90歳で亡くなったことが関係者の話で明らかとなった。

 ジーナ・ロロブリジーダ(Gina Lollobrigida)、ヴィットリオ・デ・シーカ (Vittorio De Sica)らが出演した、1953年のヒット作「「パンと恋と夢(原題:Pane, amore e fantasia)」で有名なコメンチーニ監督は、その後同作品の続編でイタリアのネオリアリズモ(新写実主義)の時代を築いてきた。

 1966年の「天使の詩(原題:Incompreso)」や1979年の「L’ Ingorgo - Una storia impossibile(英題:Traffic Jam)」などを含む50の作品の多くでコメンチーニは、子供や労働者らの苦労に焦点を当ててきた。またコメンチーニは40本の脚本も手掛けている。

 1972年には女優ベティ・デイヴィス(Bette Davis)と俳優アルベルト・ソルディ(Alberto Sordi)主演で、ブラックコメディータッチの「Lo Scopone scientifico(英題:The Millionairess)」を手掛けた。

 初期のコメンチーニ監督の作品にはストリートチルドレンの題材が見られ、1946年には「Bambini in citta(英題:Children in Cities)」、1948年「Proibito rubare(英題:Stealing Forbidden)」を撮っている。

 監督の創作テーマは一環して共通しており、1966年の「天使の歌」や1969年の「Infanzia, vocazione e prime esperienze di Giacomo Casanova, veneziano(英題:Giacomo Casanova: Childhood and Adolescence)」に特に大きく表れている。

 才能を持ち合わせていたにも関わらず、コメンチーニ監督はイタリア映画界のトップクラスにはいなかった。このことについてコメンチーニ監督はかつてこのように語った。

 「人々が私を一目で覚えられるようにと、多様な映画を作り過ぎてきたようだ。フェデリコ・フェリーニ(Federico Fellini)監督は成功した監督だよ。彼の名を言えば、作品が思い出されるのだから」

 1916年にブレシア(Brescia)の北部に位置するサロ(Salo)で生まれたコメンチーニ監督は、パリの学校やミラノで建築の勉学に励んだ。1946年に監督デビューを果たす前は映画の評論家であった。

 コメンチーニは1989年に映画界から引退したが、娘のクリスティーナ・コメンチーニ(Cristina Comencini)、フランチェスカ・コメンチーニ(Francesca Comencini)が監督の後を継いでいる。

 クリスティーナ・コメンチーニが監督をした「心の中の獣(原題:La Bestia nel Cuore)」は、2005年のヴェネチア国際映画で数部門を制し、同年のアカデミー賞では外国語映画部門にノミネートされた。

 またフランチェスカ・コメンチーニ(Francesca Comencini)が手掛けた「A casa nostra(原題)」も昨年、評論家の絶賛を浴びた。

 写真は、コメンチーニ監督(1982年5月撮影)。(c)AFP/Piero OLIOSI