【ニューデリー/インド 7日 AFP】ボリウッド(Bollywood)スターのアイシュワリヤ・ライ(Aishwarya Rai)が家庭内暴力の犠牲者を演じる新作映画「Provoked」が6日、国内で公開を迎え、評論家らはこの映画が、彼女のキャリアの中で重要な位置を占めるものになるかも知れないと語った。

 この映画は、1989年に長年のレイプや暴力に耐えた末、夫を焼殺して刑務所に拘留された、Kiranjit Ahluwaliaの自伝を基に作られた。

 この自伝「Circle of Light」では、Ahluwaliaの犯行の引き金となる、熱した鉄で脅された経緯が細かく描写されている。

 「この役はアイシュワリヤのためのものだった。彼女は控えめで傷つきやすく見えて、共感をよびやすい。これは彼女のキャリアの中で一番のはまり役だと言えるでしょう」映画サイトの編集者でありボリウッドに詳しいIndu Mirani氏は語る。

 映画評論家は元ミス・ワールドのライの演技を度々酷評してきたが、ボリウッド映画のトレードマークである派手な作品とはほど遠い本作品でのライの迫真の演技を称賛した。

 「いうまでもなく、彼女は私の苦しみを表現してくれました。彼女は素晴らしい仕事をしてくれた」とAhluwaliaは全国紙Hinduに語った。

 1989年、Ahluwaliaは殺人罪で終身刑を言い渡されるも、活動家の圧力により減刑され、このことは家庭内暴力が脚光を浴びるきっかけとなった。

 監督を務めたJagmohan Mundhraは、人々を魅惑するライと彼女の国際的知名度が、ボリウッドでは魅力がないとされるテーマに観客を呼んでくれるだろうと話す。

 「インドの配給会社は、これまでにない形をとったこの映画を信じず、上映するのには時間がかかった」とMundhra監督は話す。

 また「『Provoked』はアイシュワリヤのおかげでたくさんの人が興味を持ってくれた。彼女の名は世界中に知れ渡ったブランドだ」とも話す。

 「こういうテーマの映画だったので、人々を引きつけるためにアイシュワリヤのような人が必要だっだ」とMirani氏は語る。

 この作品は、ロンドンでプレミア上映も行われる。

 またライがスター俳優アミターブ・バッチャン(Amitabh Bachchan)の息子で俳優のアビシェーク・バッチャン(Abhishek Bachchan)と今月末結婚する予定であることからも、この映画の人気は予想されていた。

 昨年ライとバッチャンが共演した映画「Dhoom 2」はボリウッド界最高の興行収入となる16億5000万ルピー(約45億5500万円)を記録している。

 写真はビデオ・クリップ集リリース記念イベントに登場した際のアイシュワリヤ・ライ(2006年10月26日撮影)。(c)AFP/Sebastian D’SOUZA