【3月21日 senken h】ランジェリーのデザイナーズブランドとして君臨する「シャンタル・トーマス」。小悪魔的でコケティッシュ、とびきりモードなデザインは女性たちの憧れ。13~14年秋冬の新作発表を終えたばかりのパリで、ランジェリーへの思い、モノ作りへの姿勢、イメージ戦略、そして日本の女性に対するメッセージを、シャンタル本人に語ってもらった。

——プレタポルテとランジェリーデザインの違いは。
「私は以前、洋服のデザインも手掛けていました。洋服はある程度ターゲットが明確ですが、ランジェリーはすべての女性がターゲット。朝、身に着けたら気分が上がり、ハッピーに過ごせるようなランジェリー、女性の内面にあるフェミニティを表現するランジェリーを作りたいと常に考えています。25年前は機能性ばかりが重要視されましたが、今はアクセサリーのような感覚でランジェリーが選ばれる時代。女性の生き方、ライフスタイルが進化しているように、ランジェリーの選び方、楽しみ方も進化しています」

——下着選びのアドバイスを。
「少しくらいバストを大きく見せるなら良いかもしれませんが、驚くほど厚いパッドを入れるのは、考えものです。エレン・ヴォン・アンワース(下記参照)はモデルを選ぶときに、下着のカタログといえども完璧なボディーラインは要求しません。大切なのはパーソナリティーだからです。小さくても大きくても、バストの形はその人の個性。そのままを受け入れるのはすてきなことだし、フィジカルにも良い影響を与えると思いますよ。そして、服に合わせて、ブーツ、ハイヒール、スニーカーと履き替えるように、ランジェリーもTPOによって着替えましょう。もちろん、季節によってランジェリーを変えるのも気分が替わりますよ」

——日本の女性にメッセージを。
「日本の女性はフランス人とは違う特別な魅力があります。肌の美しさもそのひとつ。他の人と比べるのではなく、自分自身の魅力を大切にして。ランジェリーは、ふだん人の目に触れないもの。『他人によく見られること』を意識して、選ぶものではありません。だからこそ、その人の内面、心の在り方を表すのです。人に見られないランジェリーにこだわることは、その人自身が美しくいられるために本当に大切なこと。そのことを忘れないで」

■イメージビジュアルはエレン・ヴォン・アンワースが撮影
 シャンタル・トーマスのイメージを決定づける広告写真は、3シーズン続けて、ファッションフォトグラファーとして絶大な人気を誇るエレン・ヴォン・アンワースが撮影している。彼女を起用した理由についてシャンタルは、「セクシーでありながら、品があり、洗練された写真を撮ってくれるのが彼女。エレンはモデル出身だから、モデルたちもコミュニケーションが取りやすいらしく、リラックスしたとても良い表情を引き出してくれる。彼女は体型よりも、モデルのパーソナリティーを重視し、それを生かしながら撮影します。それも良い写真に上がる秘訣(ひけつ)」と語ってくれた。

■シャンタルワールドを象徴するデザインディテール
 ひと目でシャンタル・トーマスと分かるデザインには、キーとなるいくつかのディテールがある。シャンタルによれば「黒とピンク、繊細なシャンテリーレース、チュールの透明感、ポイントとなるリボンとフリル、どんなバストも愛らしく見せるバンドゥブラ」だ。そして重要なのが、そんなウルトラガーリーなデザインの中に、ほんの少し加えられるマスキュリンテイスト。タキシードやネクタイをモチーフにした、ちょっと男っぽいディテールをコレクションに加えることで、さらに女っぽさが際立つこととなる。

■サントノーレ通りのブティックはランジェリーピープルのメッカ
 高級ブランド店が立ち並ぶパリ・サントノーレ通りにあるフラッグシップショップは、シャンタルのファンだけでなく、パリを訪れたファッションピープルがこぞって立ち寄る場所。ピンク一色でまとめられた店内には、限定アイテムやランジェリー以外のコラボアイテムも並ぶ。必見は、シャンタル自身がデコレーションするショーウィンドー。ドラマチックな演出に誰もが足を止め、記念写真を撮る観光客も後を断たない。

■見本市のスタンドもブティック同様こだわりの演出で
 パリ国際ランジェリー展ではメイン通路に面した位置にスタンドが設けられ、ブティック同様、シャンタル・トーマスの世界観を表現した演出に、新作への期待感が高まる。まず、カーテンが描かれたスタンドの入り口に座る受付嬢には、シャンタル・トーマスのトレードマークであるボブのウィッグをつけるという徹底ぶり。中はカーペットとランプシェードにピンクのレオパード柄が使われ、壁には「サーカス」をテーマにした、13~14年秋冬のイメージビジュアルが飾られた。(c)senken h / text:川原好恵

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