＜senken h 131＞スイーツとファッションをつなぐ名パティシエ、東京スイーツコレクションの仕掛け人／「ププリエ」大橋健二さん
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【3月5日 senken h】新しいクリエイティブなチャレンジをするヒト・モノ・コトに迫る「アッシュ・インキュベーション」。今回は、スイーツ業界をファッションとつなげる名パティシエ・大橋健二さんが主人公。
業界を代表する名パティシエのひとりでありながら、ファッションとスイーツを融合したイベント「東京スイーツコレクション」を立ち上げ、プロデュースしてきた大橋さん。「日本のスイーツ界をもっとオープンに、」との思いが、66歳の職人を突き動かす。
――ファッションとスイーツを融合したイベント・東京スイーツコレクションとは？
国内外で活躍する人気パティシエが、ファッションショーと融合して新作のスイーツを発表し、味わってもらうイベントです。毎年3月に開催し、今年で5年目になります。これまでに、「ツモリ・チサト」や「ケイタ・マルヤマ」「ダブルスタンダード・クロージング」などの日本人デザイナーと組んで、あめ細工を取り入れたドレスを作ったり、スイーツ×ファッションのエンタテインメント空間を生み出してきました。今年はスタイリストの近藤亜子さんと9人のパティシエがコラボします。
――スイーツ業界ではこれまでなかった動き。なぜこれを仕掛けるのか？
日本人のパティシエは世界でもトップを走っていて、国際コンクールなどで優勝していますが、専門領域の中だけの動きになってしまって、「スイーツで人を喜ばせる」という原点が忘れられがちのような気がします。海外では、スイーツがファッションやデザインの一分野になっているから新しい世界とつながって、革新も生まれやすい。日本でももっと技術だけじゃなく、色んな時代性やトレンド、感性に対してアンテナを張って、外に開かれたスイーツ業界でないといけない。そんな思いから、ファッションと融合したイベントをやりたいと思ったんです。スイーツブームの時代で世間の注目は集まって、その結果、ともすればパティシエが基本を忘れて、どんどん見栄えのするものやインパクトのあるもの、新規性のあるお菓子作りなどに傾注してしまうきらいが最近あります。洋菓子業界の中の競い合いだとどうしてもそうなってしまう。だからこそ、外の発想を取り入れることが重要なのです。
――今回の東京スイーツコレクションでは、スイーツ業界の方向性を示すという方針も出されていますね。
今、若い人たちの生クリーム離れが進んでいます。量産される値頃なスイーツが人気ですが、コストパフォーマンスを高めるためにバタークリームではなく、動物性油脂を調合した廉価な生クリームにしているため、油っぽいという印象が広がっているからなんです。値頃なものを否定する気はないのですが、次々に情報が移り変わり、たくさんのものがあふれているからこそ、パティシエは原点や本質を見極めないと存在する意味がない。日本人って器用で、トレンドをうまくアレンジしたり、高いものを安く作れるように改良したりするのは本当にうまい。でもそればかりだと本物を生み出す力、感じる人が失われていく。季節によって違うバターの香りまで見極めてその魅力を伝える気持ちでお菓子を作ること、そんなスイーツ文化や歴史の底上げにも日本人パティシエが意識を持つべき時代だと思っています。3月9日はそんなスイーツの本質を発信したいと思っています。
――66歳にして毎日、厨房に立ちながらそのバイタリティー。原動力は何？
自分にふたをしないこと。いつもアンテナを広く張っていることですね。パティシエの仕事は多くの人の人生に関わること。人生の最後にモンブランが食べたいなんて依頼もある。技術だけじゃなくて、食べる人や今の時代とか幅広い想像力と豊かな経験が大事です。常に何かを見つけていたいと思っています。
そしてファッションともっと深くつながりたいですね。心の豊かさを提供する仕事同士。単なるコラボを超えて、一緒に美しいもの、素晴らしい文化を作り出すようなつながりができたら、と願っています。
【プロフィール】
大橋健二 Kenji OHASHI
1947年生まれ。10代で洋菓子職人の門を叩き、77年埼玉県東松山に自身の店「ププリエ」をオープン。以来、数々のコンテストでの受賞を経て、厚労省「平成19年度 現代の名工」にも選ばれた。埼玉県洋菓子協会理事などで後進の育成にもあたる、パティシエ界のリーダー的存在。
【information】
東京スイーツコレクション
鎧塚俊彦さんや土屋公二さん、和泉光一さんなど、9人の日本人パティシエとスタイリスト近藤亜子さんが組んだ、ファッションショー＋新作スイーツを堪能できるエンタテインメントイベント。
会場：品川プリンスホテル・プリンスホール（アネックスタワー5F）
開催日：3月9日
入場料：8000円
東京スイーツコレクション2013事務局 03・6661・1430
（c）senken h
【関連サイト】
東京スイーツコレクション 公式サイト＜外部サイト＞
業界を代表する名パティシエのひとりでありながら、ファッションとスイーツを融合したイベント「東京スイーツコレクション」を立ち上げ、プロデュースしてきた大橋さん。「日本のスイーツ界をもっとオープンに、」との思いが、66歳の職人を突き動かす。
――ファッションとスイーツを融合したイベント・東京スイーツコレクションとは？
国内外で活躍する人気パティシエが、ファッションショーと融合して新作のスイーツを発表し、味わってもらうイベントです。毎年3月に開催し、今年で5年目になります。これまでに、「ツモリ・チサト」や「ケイタ・マルヤマ」「ダブルスタンダード・クロージング」などの日本人デザイナーと組んで、あめ細工を取り入れたドレスを作ったり、スイーツ×ファッションのエンタテインメント空間を生み出してきました。今年はスタイリストの近藤亜子さんと9人のパティシエがコラボします。
――スイーツ業界ではこれまでなかった動き。なぜこれを仕掛けるのか？
日本人のパティシエは世界でもトップを走っていて、国際コンクールなどで優勝していますが、専門領域の中だけの動きになってしまって、「スイーツで人を喜ばせる」という原点が忘れられがちのような気がします。海外では、スイーツがファッションやデザインの一分野になっているから新しい世界とつながって、革新も生まれやすい。日本でももっと技術だけじゃなく、色んな時代性やトレンド、感性に対してアンテナを張って、外に開かれたスイーツ業界でないといけない。そんな思いから、ファッションと融合したイベントをやりたいと思ったんです。スイーツブームの時代で世間の注目は集まって、その結果、ともすればパティシエが基本を忘れて、どんどん見栄えのするものやインパクトのあるもの、新規性のあるお菓子作りなどに傾注してしまうきらいが最近あります。洋菓子業界の中の競い合いだとどうしてもそうなってしまう。だからこそ、外の発想を取り入れることが重要なのです。
――今回の東京スイーツコレクションでは、スイーツ業界の方向性を示すという方針も出されていますね。
今、若い人たちの生クリーム離れが進んでいます。量産される値頃なスイーツが人気ですが、コストパフォーマンスを高めるためにバタークリームではなく、動物性油脂を調合した廉価な生クリームにしているため、油っぽいという印象が広がっているからなんです。値頃なものを否定する気はないのですが、次々に情報が移り変わり、たくさんのものがあふれているからこそ、パティシエは原点や本質を見極めないと存在する意味がない。日本人って器用で、トレンドをうまくアレンジしたり、高いものを安く作れるように改良したりするのは本当にうまい。でもそればかりだと本物を生み出す力、感じる人が失われていく。季節によって違うバターの香りまで見極めてその魅力を伝える気持ちでお菓子を作ること、そんなスイーツ文化や歴史の底上げにも日本人パティシエが意識を持つべき時代だと思っています。3月9日はそんなスイーツの本質を発信したいと思っています。
――66歳にして毎日、厨房に立ちながらそのバイタリティー。原動力は何？
自分にふたをしないこと。いつもアンテナを広く張っていることですね。パティシエの仕事は多くの人の人生に関わること。人生の最後にモンブランが食べたいなんて依頼もある。技術だけじゃなくて、食べる人や今の時代とか幅広い想像力と豊かな経験が大事です。常に何かを見つけていたいと思っています。
そしてファッションともっと深くつながりたいですね。心の豊かさを提供する仕事同士。単なるコラボを超えて、一緒に美しいもの、素晴らしい文化を作り出すようなつながりができたら、と願っています。
【プロフィール】
大橋健二 Kenji OHASHI
1947年生まれ。10代で洋菓子職人の門を叩き、77年埼玉県東松山に自身の店「ププリエ」をオープン。以来、数々のコンテストでの受賞を経て、厚労省「平成19年度 現代の名工」にも選ばれた。埼玉県洋菓子協会理事などで後進の育成にもあたる、パティシエ界のリーダー的存在。
【information】
東京スイーツコレクション
鎧塚俊彦さんや土屋公二さん、和泉光一さんなど、9人の日本人パティシエとスタイリスト近藤亜子さんが組んだ、ファッションショー＋新作スイーツを堪能できるエンタテインメントイベント。
会場：品川プリンスホテル・プリンスホール（アネックスタワー5F）
開催日：3月9日
入場料：8000円
東京スイーツコレクション2013事務局 03・6661・1430
（c）senken h
【関連サイト】
東京スイーツコレクション 公式サイト＜外部サイト＞
