【12月28日 senken h】新たなブランドが彗星のように現れ、また消えて行くバッグ業界において、少しずつ、しかし大きく存在感を増しているブランドがある。これまでになかった選択肢を市場に確立した「レン(REN)」だ。

 マンションの一室から始まったレンのモノ作りは、強靭で無骨なメンズのレザーアイテムからスタート。「そぎ落とされ、素材に強い個性がありながら普遍的なものへと変わっていった」現在のコレクションは、驚くべき軽さと柔らかさ、独特の雰囲気を持つ「素上げ」のオリジナルレザーが中心だ。通常は革をなめして色付けした後コーティングをするが、レンの場合は傷や色ムラをあえてそのまま残す。素材のニュアンスを重視すればするほど安定生産は難しく、下積みを合わせれば10年、タンナーと話し合いながら繰り返し作ることでようやく安定した。

 追求する、まるで服のように体になじむくったりとした質感も、タンニンとクロムなめしを組み合わせたり、レザーを振って柔らかくする通称「ばた振り」を取り入れるなど、試行錯誤して作り上げたもの。もちろん革本来の味である傷や色ムラを、消費者に個性として受け入れてもらうまでにも多くの時間を要している。

 山羊革や牛革なども揃えたラインの中で、圧倒的人気を誇るのが「フクロ」シリーズ。「誰も見向きしなかったような革も、時間と手間をかけることで良い素材になる」と、薄くても摩擦に強く、軽い豚革ならではの特性に注目。裏材に使われることが大半だったピッグレザーを主役にした斬新なアイテムは新たな価値を生み出した。

 また、もうひとつ忘れてはならないのが、それぞれのスタイルに調和するシンプルかつラフさを残したデザイン。バッグのサンプル職人として腕を磨いた代表が素材の選定、型紙の作成、プロトタイプの製作まで一貫して行うからこそ、コンセプトがぶれず真似の出来ないクリエーションが表現できる。

 「いいものはいい」という発想とコストパフォーマンスへのこだわり、そして技術力が融合し、ボーダレス&ジャンルレスなファンを獲得しているレンの世界。阪急うめだ本店の期間限定店(11月28日~12月4日)を皮切りに、蔵前のアトリエショップに続く2店舗目もオープン予定。その目は海外を見据えている。(c)senken h

【関連情報】
REN 公式サイト