【12月6日 senken h】不思議なモノで、お気に入りのクリエーターの作品でも、全てが自身の好みとなる訳ではない。ひょっとすると観賞する側のココロ模様によるのかもしれない。今回のメニュー選びは、映画はもとよりさまざまなジャンルのクリエーターをキーワードに3作をアラカルトで。

■『恋のロンドン狂騒曲』
 「いかにもウディ・アレン」そんな作品が、日本では彼の誕生日から公開になる。「恋のロンドン狂騒曲」と題されたタイトル通り、ロンドンの街を舞台に1組の親子とその夫婦、計4人の男女が繰り広げる悩める大人たちの人騒がせな恋の物語だ。突如、若返り大作戦に邁進し結婚40年の破局を迎える父役が絶妙なアンソニー・ホプキンスほか、「彼の作品ならでは」と集結するキャストの顔ぶれのバリエーションやマッチングもアレン作品の楽しみの一つ。初登場のアントニオ・バンデラスにより、ラテン・フレーバーも加味され、味わい豊かな仕上がりに。
 
■『ダイアナ・ヴリーランド 伝説のファッショニスタ』
 ファッション通ならご存知の方も多いだろうが、『ハーパース・バザー』のエディター、『ヴォーグ』の編集長、メトロポリタン美術館のコスチューム・インスティテュート(顧問)など20世紀のファッション界に50年ほど身を置き、写真家のリチャード・アヴェドンほか多くの輝ける才能を世に送り出してきた女性。彼女を描いたドキュメンタリー「ダイアナ・ヴリーランド 伝説のファッショニスタ」は、創造力豊かな一人のクリエーターの魅力を浮き彫りにし、彼女独自のスタイルある人生感と、ほとばしる情熱には刺激を受けそう。

■『フランケンウィニー』
 「思えば映画デビューはディズニー」という人も少なくないのでは。時代の気分を盛り込みつつ、家族で楽しめる作品を生み出すクリエーターの一人、ティム・バートンが新たに挑んだ白黒3Dによるワンダーランドが「フランケンウィニー」。自身が少年時代に経験した愛犬との永遠の別れも手伝い、愛着ある自叙伝的作品のようだ。加えて大好きな手法というストップモーション・アニメーションを採用することにより、映像が完成するまでに要した時間は約2年という。たくさんの愛が込められた本作観賞後、きっと子供ゴコロを失っていない自分に気づくことになるかも…。(c)senken h / text:宇佐美浩子

【関連情報】
ダイアナ・ヴリーランド 伝説のファッショニスタ 公式サイト
フランケンウィニー 公式サイト
恋のロンドン狂騒曲 公式サイト