【11月8日 senken h】1度きりの人生に出くわすいくつかのココロときめく恋物語。振り返れば、多くの難題に遭遇した恋ほど、その思い出はいつまでも胸の奥深くに眠っているのでは。今回はそんな3つのラブストーリーをピックアップしてみた。

■『チキンとプラム~あるバイオリン弾き、最後の夢~』
 自伝的コミック『ぺルセポリス』の映画化で話題を呼んだアーティスト、マルジャン・サトラピ。今作「チキンとプラム~あるバイオリン弾き、最後の夢~」では、初の実写映画化にチャンレジ。物語は、主人公の音楽家ナセル・アリにとっての命=「バイオリン」を妻に壊され、人生にピリオドを打つことに決めた彼が、生涯のキーワードとなる出会いや人物をフラッシュバックする8日間。監督たっての「彼でなければならない」という熱望により、演技派かつバイオリンも弾くことができるマチュー・アマルリックを主演に迎え、イザベラ・ロッセリーニ、キアラ・マストロヤンニほかヨーロッパの才能が集結した。

■『ウォリスとエドワード 英国王冠をかけた恋』
 世界的に注目を集める人物のロマンスにはつきもののさまざまな比喩(ひゆ)。その一つが英国王エドワード8世とウォリス・シンプソン夫人(後のウィンザー公夫妻)の恋。秘密のベールに隠されたエピソードを女性視点で描写した「ウォリスとエドワード 英国王冠をかけた恋」は、監督兼脚本のマドンナが長年にわたる構想期間を経て完成したラブストーリーだ。「この女性(ウォリス)をもっと知りたいと思った…」という監督の問いに対する答えをスクリーンから知り得るだろう。物語を華やかに彩るファッションやジュエリーの数々にもマドンナらしいこだわりにあふれる。

■『ホン・サンス/恋愛についての4つの考察』
 韓国のゴダール、またはロメールと称され、ヨーロッパでの人気も高い監督がこれまでに発表してきた「恋にまつわる」4作品(「よく知りもしないくせに」「ハハハ」「教授とわたし、映画」「次の朝は他人」)を一挙に公開するという「ホン・サンス/恋愛についての4つの考察」は、ユニークな試みだ。とりわけ撮影当日まで俳優、スタッフに脚本を見せないという彼のスタイルは、ストーリー展開にライブ感を与えると好評。なお4作の共通項として軽やかに生きる現代女性たちにも要注目。(c)senken h / text:宇佐美浩子

【関連情報】
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<『ホン・サンス/恋愛についての4つの考察』<外部サイト>
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