【10月15日 senken h】当たり前だと思う日常に想定外のハプニング‐‐そんな時、忘れていた大切な何かに気付かされるものだ。こうして芽生える人と人の心の交流にキュンとなる3作品をセレクト。

■『桃(タオ)さんのしあわせ(A Simple Life)』
 「香港映画=アクション」とイメージしがちだが、ラブストーリーを筆頭にドラマチックな名作も定評がある。『桃(タオ)さんのしあわせ』はまさに、観る者の胸にさまざまな思いが過ぎるヒューマンな物語。テーマとなる人の絆の深さ、そしてエージング。誰にとっても身近なコトだからこそ、それぞれの視点と思いで作品を味わうことになるだろう。60年間一家族に仕えたメード役のヒロイン、ディニー・イップ(Deannie Yip)はヴェネチア国際映画祭をはじめ多くの受賞に輝く。本作のプロデューサー、ロジャー・リーの実話かつ、彼の知人で共同プロデューサーも務めたアンディ・ラウ(Andy Lau)がロジャー役を爽快に演じているのが印象深い。日本人の母を持つアン・ホイ(Ann Hui)のメガホンによる。

■『くろねこルーシー(Chat Noir Lucy)』
 ちょっとした迷信が案外、ココロの奥深くにすみついていたりする。たとえば本作『くろねこルーシー』の脱サラ占い師(塚地武雅(Muga Tsukaji))のように黒猫に対して不吉な思い出がつきまとうとか。ところが突然、そのイメージが覆されることもある。きっかけさえあればお互いのキモチは通い合う。それはヒトでもネコでも同じこと。やがて売れっ子占い師へと変身し、彼と家族との関係も変化していくのだが…。独創的なタッチで描く動物映画シリーズのキングともいうべき亀井亨監督が、今回は3匹の黒猫をキャストに迎え、観客にシアワセをおすそ分け。

■『みんなで一緒に暮らしたら(And If We All Lived Together)』
 一つ屋根の下に暮らすという表現そのままの『みんなで一緒に暮らしたら』は、平均年齢75歳の男女5人が、最初で最後の共同生活に挑むコミカルでウオームな物語。パリ郊外の一軒家に暮らす友人夫妻宅に集結した1組のカップルと独身男1人、プラス犬の散歩係兼お世話係のドイツ人男子学生。と聞いただけでも、何となくユニークな展開が待ち受けていそうな予感がするが、その通りのにぎやかな日々となる。ジェーン・フォンダ(Jane Fonda)が40年ぶりにフランス映画でヒロインを好演。
(c)senken h / text:宇佐美浩子

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<インフォメーション>
『桃(タオ)さんのしあわせ』公式サイト <外部サイト>
『くろねこルーシー』公式サイト <外部サイト>
『みんなで一緒に暮らしたら』公式サイト <外部サイト>