【5月29日 MODE PRESS】伊藤忠ファッションシステム株式会社は、伊藤忠商事株式会社の協力のもと、ifs未来研究所を立ち上げる。これに関して29日、都内で川島容子(Yoko Kawashima)所長が概要説明を行った。

 100年後の遠い未来ではなく、10年後くらいの近未来を視野に入れ、生活者の暮らしに役立つモノやコトを、思い、考え、発信していくことを目的に設立した同研究所では、主に2種類の活動に取り組んでいく。まず1つめは、企業のブランド力を強固なものにすべく、さまざまなプロジェクトを各分野のプロフェッショナルと手を組み、実現していくこと。2つめは、人々のライフスタイルが近未来にどのような進化を遂げるのか、展覧会や映像、書籍やレクチャーなどで発表していくことだ。

■川島組長と7人の侍?

 今回の設立にあたり、川島所長を筆頭に、活動メンバーとして他分野から7人の研究員が集められた。経営コンサルタントの唐川靖弘(Yasuhiro Karakawa)、プロダクトデザイナーの酒井俊彦(Toshihiko Sakai)、建築家の田根剛(Tsuyoshi Tane)、ジャーナリストの林信行(Nobuyuki Hayashi)、ファッションデザイナーの廣川玉枝(Tamae Hirokawa)、ビジュアルクリエーターの福井武(Takeshi Fukui)、デザインエンジニアの渡邉康太郎(Kotaro Watanabe)。今後の活動内容によって、外部からスタッフを投入するなど、柔軟に対応していく。

 「こうなるだろう」ではなく、「私たちがこうしたい」と考える近未来のライフスタイルを描き、発信していきたいと川島所長は語る。また、「今日から未来は始まっている。これからの未来にとって大切なことをifs未来研究所では考えていきたい」と続けた。

■「とらや」や「ポーラ」とのプロジェクトも

 会場では、研究所の概要説明に加えて今回すでに形に落とし込んだ2つのプロジェクトを紹介した。1つは、未来のお菓子プロジェクトとして老舗和菓子店「とらや」とコラボレーションした『ひとひ』。5つのお菓子で一日を表現した和菓子は、朝日が上る風景から夜月が輝く様まで四季折々の表情を、とらやの伝統と技術を駆使し実現した。

 2つめは、未来の入浴剤プロジェクト。ポーラ・オルビスホールディングスとのコラボレーションによって生まれたのは、『バスオイルと泡』。従来の入浴剤にはなかった技術をポーラが開発し、実現。商品化するまでのさまざまな困難を経て、ようやく完成した。

 さらに、日常をチャーミングにする日用品というコンセプトのもと、日本のすぐれたデザインや機能を受け継ぐおしゃれな生活雑貨を集めた書籍「365日 Charming Everyday Things」もプレゼンテーションのなかで紹介された。「ビジネスにはデザインが必要」と常日頃から語る川島所長が、全勢力をかけて取り組む同研究所の活動に注目する人々で会場の席は埋まり、急遽隣の会場にもスクリーンを設置してプレゼンテーションは進行した。

 川島容子氏が長年培ってきたジャーナリストとしてのモノの見方や感覚を近未来へ繋げていくためにも、今回の研究所立ち上げには大きな期待が寄せられる。【岩田奈那】(c)MODE PRESS