【10月5日 MODE PRESS】第5回ティファニー財団賞授賞式が4日、 東京・南青山の梅窓院で開かれ、大阪府の「山本能楽堂」と石川県の「輪島土蔵文化研究会」が表彰された。

 今年で5回目を迎える同賞は、米国のティファニー財団(The Tiffany & Co. Foundation)と日本国際交流センター(JCIE)が国内の文化振興 と地域活性化に貢献した団体を称え、その活動に対する全国的な認知を高めることを目的として、07年に設立。

 選考委員会委員長を務める森美術館館長の南條史生(Fumio Nanjo)を筆頭に建築家の隈研吾(Kengo Kuma)、アーティストの日比野克彦(Katsuhiko Hibino)、法政大学の田中優子(Yuko Tanaka)教授によって構成された選考委員が以下2団体を選出した。

■伝統文化大賞:公益財団法人 山本能楽堂
 日本古来の伝統芸能として知られる能楽を、「現代に生きる魅力的な芸能」として位置づけ、地元民に豊かな伝統文化を鑑賞する機会を提供し、さらに現代アートの視点を取り入れた子どもへの教育普及活動や、ナイトカルチャー事業など、新たな観客、能楽の理解者の発掘に意欲的に取り組んでおり、その活動は国内のみならず世界に向けて発信する面においてもリーダーシップを発揮している。このような一連の活動を評価されての受賞となった。

■伝統文化振興賞:特定非営利活動法人 輪島土蔵文化研究会
 能登半島地震で被災した輪島市で、日本の伝統的な建築様式のひとつとして知られる土蔵を現代的な感覚で修復に取り組んでおり、輪島塗や日本酒醸造の重要な施設を維持していくだけに留まらず、町並みや文化を巻き込んだインフラを生んでいる活動が高く評価されての受賞。これらの活動が、今後他の都道府県でも同様に活かされることに期待が寄せられた。

コメント:選考委員会委員長 南条史生氏(森美術館館長)

 “伝統文化”というものは、時代にあったものにすることで、次の世代に繋げていくことができる。それには必要不可欠なのは創造性です。創造性とは、ゼロからなにかを作るのではなく、いまあるものを新しい見方によって違うものにし、違う意味を持たせ、そして違う形に変えていく。これが次の世代に繋がっていく。ひたすら保護するだけではなく、ほかの伝統芸能や文化の参考になるような活動が今回受賞した2団体ともに共通している。日本は伝統的文化資産をもっているが、活かしていくことの重要さが課題です。どうやって残していこうかと携わっている人たちは日々戦っています。ティファニー財団のこのような活動の存在が広く知られることによって、伝統文化に携わる人々により多くのインスピレーションを与えていければと願っています。(c)MODE PRESS