【5月13日 AFP】伊ファッションブランド「ディーゼル(DIESEL)」が、水の都ベネチア(Venice)の観光名所「リアルト橋(Rialto Bridge)」の修復プロジェクトに650万ユーロ(約8億6千万円)の出資を行う。7日に同市議会と契約を交わした。

 ベネチアのジョルジョ・オルソーニ(Giorgio Orsoni)市長は、ディーゼルの創始者レンツォ・ロッソ(Renzo Rosso)氏が契約書へのサインを終えると「本日、我々の共同遺産を守るための基本的な協力関係を結ぶことができました」と述べるとともに、「官民一体となってこの大切な建築物の修復に取り組むことができることを、とても幸運に思います」と喜びを語った。

 一方のレンツォ氏は「民間の団体は、世界をより良くするために公的機関と協力するべき」だと自身の考えを語った。今回の契約により、レンツォ氏は修復現場を覆うカバーの30%を広告スペースとして使用することができる。

 ベネチアの運河カナル・グランデ(Canal Grande)に架かる4つの橋のひとつ、48メートルのリアルト橋は、1588年から1591年の間に建設された。同市のアレッサンドロ・マギオーニ(Alessandro Maggioni)文化担当官によると「急務」である橋の修復は、2014年の前半に開始され、およそ18か月を要するという。また、年間およそ2千万人の旅行客が訪れる水の都は、そのほかの橋の修復やゴンドラが行き交う運河の清掃など「多くのメンテナンスが必要」な状況だと語る。

 経済危機の影響で不況が長引くイタリアで、民間の援助による歴史的建造物の修復はリアルト橋だけではない。古代ローマの闘技場コロッセオ(Colosseum)の修復プロジェクトには伊「トッズ(TOD'S)」グループが、古代ローマ高官のために建てられた巨大なピラミッドの修復作業には日本企業が出資している。(c)AFP