【8月5日 AFP】オーストラリア国内でインターネットショッピングが勢いを増している。小売市場全体と比較すると、インターネットショッピングの割合は約5.5%。わずかな数字に感じるかもしれないが、2010年度のネットショップ売上総額は、前年比13%増の約130億豪ドル(約1兆1000億円)を記録した。

■ほとんどの買い物をネット上で

 27歳のグラフィック・デザイナー、エミリー・スペンサー(Emily Spencer)さんは、インターネットショッピングを愛する現代人のひとりだ。初めてインターネット上で商品を購入したのは04年のこと。両親のために 140豪ドル(約1万1900円)で自転車2台を購入し、「お得な価格」で気軽に買い物する喜びに目覚めた。

 スペンサーさんは現在、ほとんどの買い物をネット上で済ませている。過去2か月間にネット上で使った金額は、一般のオーストラリア人の年間平均を超える640豪ドル(約5万4300円)。プリンター、サングラス、ペットボトル入りの水、靴、ヘッドフォン、ショルダーバッグなどを購入した。

「実際の店舗に出かけ買い物するのが嫌いです。ネットで買えば、うるさい店員に悩まされる必要もありません」とスペンサーさん。

 スペンサーさんは、昔ながらのショッピング方法が「珍しい」ものとなり、インターネットショッピングが主流になるのは「時間の問題」だと考える。イ ンターネットショッピングは商品の幅が広く、コストも安く、便利で外出する必要もないからだ。「実際に店に行くとなると、半日やそれ以上の時間がかかります。でもネットだと10分もかからないのです」

■いつでも、どこでも、欲しいものを

 コンサルティング会社プライス ウォーターハウスクーパース(PricewaterhouseCoopers)は、2015年までに国内のインターネットショッピング売上総額が217億豪ドル(約1兆8360億円)に達すると予測した。

 専門家スチュアート・ハーカー(Stuart Harker)氏は、「ここ数年間の世界的金融危機により、倹約が基本になりました。人々は価値を求めています」と語る。

 技術の進化はインターネットショッピングが大きく邁進した理由のひとつだ。現在オーストラリア国内の50%の人がスマートフォンを所有しており、3分の1の人が携帯やタブレット端末を通じて「いつでも、どこでも、欲しいものを手に入れるようになった」とハーカー氏は語る。決済システムもよ り安全になり、米国、英国、アジアといった海外からの商品供給プロセスも合理化された。

■実店舗に打撃

 国内最大の百貨店チェーン「マイヤー(Myer) 」は、オーストラリア人の年間オンライン購買額は最大240億豪ドル(1兆9820億円)になると予測する。年内には香港で運営する国外向けウェブサイトをローンチする予定だ。

 その一方でインターネットショッピングの勢いは実店舗に打撃を与えている。オーストラリアの小売店は世界的な景気の低迷以来、この3年間調子を取り戻せずにいる。過去2年間で破産し管理下に置かれることとなった主要な小売チェーンは少なくとも10を越える。その他の小売店も大幅に価格を下げた り、ブティックを閉店するなど苦戦している。小売協会(National Retail Association)によるとインターネットショッピングによって2000人が職を失ったという。(c)AFP/Amy Coopes

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