【8月4日 senken h】すてきなブランドと製品が生まれる際には必ず、それを支える職人技やモノ作りの現場がある。そんなファッションブランドのクラフトマンシップに迫る新企画「アトリエのチカラ」。

 初回は、「ビルケンシュトック(BIRKENSTOCK)」を日本で販売するビルケンシュトックジャパンのリペア(修理)工房。健康靴発祥のビルケンシュトックだからこそ、ファッションブランドとして人気の日本でも、履きやすい靴を長く、との思いで、修理工房を東京・浅草に設けた。非公開の工房に入ると、“作る”ことよりも、“蘇らせる”ことに賭けた、職人技に出合う。

 機械で同じものを量産できる新品作りと違い、修理に寄せられる靴は、すべてコンディションが違うので、ブランドの純正パーツを単純に付け替えるだけではない。職人が、一点ずつ靴の状態を見極め、どこに、どんな手法で修理をするべきか考え、手仕事でリペアする。例えばもっとも多いソールの補修は、かかとだけを直すのか、すべて張り替えるのか、ケースバイケース。かかとだけの場合でも、靴の状態に合わせてソールを削り、純正アウトソールを形状に合わせ補修箇所に張る。すべて張り替えるときも、「元のソールを剥いでから、新ソールの接合にどれくらいの接着材を塗るか。今日は湿度が高いから多めにとか、その日、そのときに合わせて変わる」。これも履き主の足型に変形した靴たちに合わせて、調整・修理する。

 ドイツでは医療現場で採用される健康靴のビルケンシュトック。古くなれば、新しい商品にすぐ買い換えるのが普通だ。でも日本ではファッションとして愛用する貴重な一足。「気に入ったデザインだから」「もうない限定品だから」と履き続けたいファンがいる。それが、ビルケンシュトックジャパンが日本独自のリペア工房を作るきっかけとなった。

 毎日、全国の店頭から大量の靴が送られ年間数万足という靴が、ここから息を吹き返す。一足ずつ手仕事の修理を続け、今では靴底からインソール、ステッチの修理、アッパーのメンテナンスまで、多項にわたる依頼にすばやく応える。「新品だけではなく、修理を通しても、ブランドのDNAを日本に伝えたい」。その思いで今日も、ビルケンシュトックの修理に取り組んでいる。(c)senken h

<リペアの問い合せ>
ビルケンシュトック原宿
TEL 03-5413-5248

【関連情報】
特集:senken h 114