【6月9日 AFP】鉱業資源の需要に伴う新興富裕層の増加を背景に、モンゴル国内でラグジュアリー市場が拡大している。

■ブランドショップや高級車

　首都ウランバートル（Ulan Bator）には、「ルイ・ヴィトン（Louis Vuitton）」や「エンポリオ アルマーニ（Emporio Armani）」「バーバリー（Burberry）」「ヒューゴ・ボス（Hugo Boss）」といった外資系高級ブランドの店舗が並ぶ。モンゴル革命の指導者の銅像が建つスフバートル広場（Sukhbaatar Square）に面した新たなオフィスビル「セントラル・タワー（Central Tower）」にも多くの高級ブランドが出店。また、通りでは、メルセデスベンツ（Mercedes-Benz）やレクサス（Lexus）、ランドローバー（Land Rovers）といった高級車を目にする。

　ブランドのVIPルームで富裕層が高額なシューズやサングラスを選ぶ一方で、労働者の大半は鉱山務めといった重労働やタクシー運転、中国からの輸入品販売などで生活を支えている。平均月収は首都で約250ドル（約2万円）。最低の月間賃金はわずか115ドル（約9200円）だ。

■海外よりも国内でショッピング

ヒューゴ・ボスのSiizhuugiin Nasantulgaショップマネージャーは28歳。海外でビジネスを学んだという彼は、「モンゴル経済の成長や購買力の高まりにあわせ、国内のファッション業界も拡大しています。富裕層は、海外よりも国内でショッピングをすることを好みます。モンゴル人のファッションセンスは優れているので、 常に高品質の商品を探しています」と流暢な英語でインタビューに答える。さらに「富裕層は自分の車を自慢することが好きです。また、目一杯ドレスアップすることを誇りに思っています」と語る。

　アルマーニのBatbekhiin Batkhuuマネージャーは「顧客の数は少ないですが、買う人は商品をたくさん購入していきます」と語る。「我々のビジネスプランにおいて今最も重要なことは、ブランドの認知度を上げることです。人々にファッションとは何かを教え、どのブランドが一番素晴らしいかを伝える必要があります」と語る。

■不動産市場も成長

　不動産市場の成長も、ラグジュアリーなライフスタイルの実現を後押してきた。1990年代後半には約5000ドル（約40万円）で購入できたアパート が、今では9万ドル（約720万円）で取引されている。不動産投資家のChris De Grubenは、「アパートは経済において重要な部分を占めます。地元の人は、自分のアパートを売って手にした資金でビジネスを始めることができるのです」と語る。

　富裕層の出現にあわせ、新たなアパートやペントハウスも登場した。市内南部の高級地域ザイサン（Zaisan）では、アパートの価格は1平方メートル当たり約2000ドル（約16万円）。帆のような形状が印象的な中心街のビル「ブルー・スカイ（Blue Sky）」のペントハウスは、1平方メートルあたり8875ドル（約70万円）もする。

　Grubenは「人は富を手にすると、それを人に自慢したくなるものです」と語る。「これ見よがしの富のアピールは世界中どこでも目にすることができますが、モンゴルのように貧富の差が激しい場所では、それがより顕著になります」

■世界に羽ばたく高級品も

　モンゴルから世界に羽ばたく高級品もある。一番知られているのは、セーターやマフラー、帽子、コートなどで知られるカシミヤブランドの「ゴビ（Gobi）」だ。

　アルマーニのBatkhuuマネージャーは、「モンゴル産のカシミヤの需要は世界中で増えており、市場には大きな可能性があります」と語る。 「モンゴルが“ファッションの王”という名称をイタリアから奪うことは難しいでしょう。しかし、ファッション界でモンゴルが名声を得ることは可能なのです」(c)AFP/Michael Kohn

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