イメルダ夫人も愛したフィリピン「マリキナ靴」、再興を目指す
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【11月8日 AFP】フィリピンの首都マニラ郊外のマリキナ(Marikina)市は1世紀以上にわたり靴産業に力を注いできた。市の靴産業をより広く宣伝するため設立された「マリキナ靴博物館(Marikina Shoe Museum)」には、マルコス政権期に3000足もの婦人靴をコレクションしていたことで知られるイメルダ・マルコス(Imelda Marcos)元大統領夫人の靴とともに、マリキナの歴史や、靴職人たちの巧みな技術を紹介する展示を行っている。
イメルダ元大統領夫人の靴コレクションの大半は輸入ブランド品だが、地元マリキナ製の靴も多い。地元のシューズ・コンサルタントTessie Endrigaは「イメルダ元大統領夫人はマリキナの靴産業に対し、施設の建設や融資といった形でのサポートを行うことはありませんでした。しか し、彼女なりの方法で産業に貢献してくれました」と語る。「彼女は地元のシューズ・ブランドを支援し、一度
気に入ったスタイルを見つけると何足も 同じ種類の靴を購入していったのです」
■マリキナ靴の現状
マリキナでは、質素なスリッパから頑丈なワークブーツ、ハイファッションのカスタムシューズまで、様々な靴が製造されてきた。しかし近年、マリ キナの靴産業は、大量生産で売り上げを伸ばす近隣のアジア諸国とは対照的に売り上げが低迷している。1990年代には3000もの工場があった が、現在ではたった 200しか残っていない。売り上げも、全盛期の1994年には1億7630万ドル (約143億円)だったが、毎年低迷し09年度は前年比19.5%減の 2596万ドル(約21億円)だった。
地元のマリキナの商工会議所のJose Tayawa会頭は「マリキナ製の靴は以前、世界で大きな話題を呼び有名になりました。しかし、現在では、大量生産された安価な靴を輸出する中国やベトナ ムの売り上げが一番になっています」と語る。しかし品質の点で、マリキナ製の靴は大量生産品より優れている。「マリキナ製の靴を一度買えば5年間 履くことができますが、五分の一の価格で買える中国製の靴は数か月しか持ちません」
09年09月に襲来した台風16号「ケッツァーナ(Ketsana)」がマリキナの靴産業をさらに悪化させた。多くの靴工場は崩壊し、マリキナ 靴博物館も台風による被害を受けた。
■復興を目指して
一度は閉館したマリキナ靴博物館だったが、マリキナのビジネスマンや関係者が靴産業の復興を目指し動き出したことで、今年の9月下旬に再度オー プンを迎えた。博物館を訪れた観光客は、展示されたマリキナ靴とその歴史に触れ、どこで手に入れることができるかを知りたがる。そこで市は、靴の 販売も行う常設展示会場を設立した。「最初のステップは、まず地元のマーケットを盛り上げること。そこを修正すれば、もう一度海外へ進出できるに 違いない」と地元の行政官Victoriano Sabinianoは期待を寄せる。
シューズ・コンサルタントのEndrigaも「決してクオリティーが問題というわけではありません。私たちの靴の品質は、世界に誇ることができま す。イタリアの靴職人と並ぶほどです」と語る。「ただ、この国の靴産業が多くのチャンスを逃していることは確かです」と加えた。
各国からやってくるバイヤーの多くは、マリキナ靴の品質の高さに驚くが、交渉の際には必ず中国製靴の価格が比較にあがる。しかし、安価な大量生 産品と真正面から価格で競争することは解決策にならない。現在、マリキナ靴がターゲットにしているのは、品質にこだわりを持つ先進国のブティック だ。地元の関係者は「自分たちらしいやり方でマリキナの靴を世界に売りに行くしかないんだ」と語った。(c)AFP/Mynardo Macaraig
【関連情報】
◆イメルダ夫人の靴コレクション、台風16号の洪水逃れる フィリピン
◆世界最古の靴は「ローファー」型、アルメニアで発掘
イメルダ元大統領夫人の靴コレクションの大半は輸入ブランド品だが、地元マリキナ製の靴も多い。地元のシューズ・コンサルタントTessie Endrigaは「イメルダ元大統領夫人はマリキナの靴産業に対し、施設の建設や融資といった形でのサポートを行うことはありませんでした。しか し、彼女なりの方法で産業に貢献してくれました」と語る。「彼女は地元のシューズ・ブランドを支援し、一度
気に入ったスタイルを見つけると何足も 同じ種類の靴を購入していったのです」
■マリキナ靴の現状
マリキナでは、質素なスリッパから頑丈なワークブーツ、ハイファッションのカスタムシューズまで、様々な靴が製造されてきた。しかし近年、マリ キナの靴産業は、大量生産で売り上げを伸ばす近隣のアジア諸国とは対照的に売り上げが低迷している。1990年代には3000もの工場があった が、現在ではたった 200しか残っていない。売り上げも、全盛期の1994年には1億7630万ドル (約143億円)だったが、毎年低迷し09年度は前年比19.5%減の 2596万ドル(約21億円)だった。
地元のマリキナの商工会議所のJose Tayawa会頭は「マリキナ製の靴は以前、世界で大きな話題を呼び有名になりました。しかし、現在では、大量生産された安価な靴を輸出する中国やベトナ ムの売り上げが一番になっています」と語る。しかし品質の点で、マリキナ製の靴は大量生産品より優れている。「マリキナ製の靴を一度買えば5年間 履くことができますが、五分の一の価格で買える中国製の靴は数か月しか持ちません」
09年09月に襲来した台風16号「ケッツァーナ(Ketsana)」がマリキナの靴産業をさらに悪化させた。多くの靴工場は崩壊し、マリキナ 靴博物館も台風による被害を受けた。
■復興を目指して
一度は閉館したマリキナ靴博物館だったが、マリキナのビジネスマンや関係者が靴産業の復興を目指し動き出したことで、今年の9月下旬に再度オー プンを迎えた。博物館を訪れた観光客は、展示されたマリキナ靴とその歴史に触れ、どこで手に入れることができるかを知りたがる。そこで市は、靴の 販売も行う常設展示会場を設立した。「最初のステップは、まず地元のマーケットを盛り上げること。そこを修正すれば、もう一度海外へ進出できるに 違いない」と地元の行政官Victoriano Sabinianoは期待を寄せる。
シューズ・コンサルタントのEndrigaも「決してクオリティーが問題というわけではありません。私たちの靴の品質は、世界に誇ることができま す。イタリアの靴職人と並ぶほどです」と語る。「ただ、この国の靴産業が多くのチャンスを逃していることは確かです」と加えた。
各国からやってくるバイヤーの多くは、マリキナ靴の品質の高さに驚くが、交渉の際には必ず中国製靴の価格が比較にあがる。しかし、安価な大量生 産品と真正面から価格で競争することは解決策にならない。現在、マリキナ靴がターゲットにしているのは、品質にこだわりを持つ先進国のブティック だ。地元の関係者は「自分たちらしいやり方でマリキナの靴を世界に売りに行くしかないんだ」と語った。(c)AFP/Mynardo Macaraig
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