【2月10日 AFP】09/10年秋冬メンズ・コレクションが1月下旬にフランス・パリとイタリア・ミラノで開催された。会期中にショーを発表したトップメゾンの中から、「エルメス(Hermes)」のヴェロニク・ニシャニアン(Veronique Nichanian)と「エマニュエル ウンガロ(emanuel ungaro)」のフランク・ボクレ(Franck Boclet)にメンズファッションの魅力、デザインのこだわりについて聞いた。

■エルメス:ヴェロニク・ニシャニアン

 穏やかで、生き生きとした口調が印象的なニシャニアンは、最初はレディースのデザインを手がけていたが、とあることから約30年前にニノ・セルッティ(Nino Cerruti)の元で、メンズファッションのキャリアをスタートさせることになった。「メンズの世界は魅惑的で、まさに私向きだと思う。私は正確で、緻密なものを好むから。デティールや洗練させたものが大好きなのよ」とニシャニアン。80年代後半から、エルメスのメンズ部門で活躍してきた。「私は最も美しい、最上級の生地や原料を自由に使わせてもらったのよ」

 現在のメンズファッションについては、「今のトレンドの違いが、センチメートル単位やミリ単位の違いになったことは確かね」とコメント。「でも生地は大きな変化を遂げた。今では生地がずっと軽くなったから、服作りの方法も変わってきた。高度な技術が必要になったわ」

 しかし、どれだけ環境が変化しても信条はは変わらない。 「私は服を作っているの。ファッションの流行を生み出すことが目的じゃないわ。私は、さまざまなスタイルと年齢の男性に、自分自身に一番似合うものを着てもらいたいの」とニシャニアンは語った。

■エマニュエル ウンガロ:フランク・ボクレ

 「アロー(Arrow)」や「クレージュ(Courreges)」、「スマルト(Smalto)」で経験を積み、08年にウンガロにやってきたばかりのボクレは「常にファッション業界の最前線に身を置くことはとても大変だよ」と語る。なぜなら、ファッション界ではシーズンごとに新たなコレクションを発表することが求められるからだ。
 
 レディースに比べメンズはより限られた範囲で服を創造しなくてはならない。「サッカーみたいなものさ。レディースよりも、フィールドが限られているからね。レディスでは、カットでも、生地でも、より自由で誇張された表現ができる」とボクレ。しかし、それは彼にとっては逆に“好条件”なようだ。「だけど僕にとって一番大切なことは、服が正確で、精密にできていること。僕とテーラリングのマニアなんだよ」と語る。ボクレは。ショルダーのカットから、ポケットの位置、パンツの長さまで、ミリ単位での正確さを要求するという。

 ボクレは服を通じて、「男性に女性のように自由になってもらいたい」と語る。「スタイルに捕らわれず、自分自身がスタイルであることを自覚し、日々着たいと思うものを自由に選んで着てほしい。僕のコレクションの目的は、男性にスタイルを押しつけることではなく、男性に自分に合ったスタイルを見つけてもらうことだよ」。(c)AFP

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◆特集:09/10年秋冬メンズコレクション
◆エルメス09/10年秋冬コレクション<写真>
◆エマニュエル ウンガロ09/10年秋冬コレクション<写真>