【10月15日 AFP】世界的な金融危機が消費者心理に及ぼす影響に備え、ラグジュアリーブランドや高級百貨店は、購入戦略のシフトやブランドの差別化によって損害を最小限に抑えようと試みている。欧州の高級百貨店バイヤーや高級メゾンのトップが、金融危機に対するそれぞれの見解を述べた。

■プランタン

プランタン(Printemps)のバイヤー、セドリック・シャルビ(Cedric Charbit)は、ヨーロッパは「まだ危機に突入したばかり」だと言う。しかし、「購買活動がなくなることはありません」とシャルビは強調。仕入れ先とリスクをシェアしながら、昨年よりも多くの商品を買い付ける予定だ。

 「不況のときには着た人が権力を持った気になるパンツスーツが良く売れる。また、セクシーな洋服で消費者を惹きつけることも大切。セクシーなものは何でもよく売れるから」とシャルビ。また、人目を引くゴージャスな服は必ず流行ると予想。金融危機を乗り切る最善策は「ハイエンドで、ラグジュアリーで、ニッチな」ブランドに専念することだと語った。

■ディオール・ クチュール

ディオール・ クチュール(Christian Dior Couture)のセルジュ・ブランシュヴィッグ(Serge Brunschwig)COOは、「これから長い先、何が起こるか予想するには早すぎます。もう少し、今何が起こっているのかを見極める時間が必要です」と語る。

 たとえ不況が長引くとしても、メゾンの準備はできているという。「私たちは常に先を見越した投資を行っているし、こうした変化の時にも常に上手くやってきました。今回も同じになると思いますよ」とブランシュヴィッグCOO。

■セリーヌ

 セリーヌのマルコ・ゴベッティ(Marco Gobbetti)プレジデント&マネジングディレクターは、金融危機は「非常に挑戦的な環境」を作り出したと指摘。「影響を最小限に抑えるには、クリエイティビティが必要です。他社と差別化し、独自のニッチを生み出し、独自のアイデンティティーを構築することが大切になります」とメゾンの方向性を語った。

■ハロッズ

 英ハロッズ(Harrods)は、ファッション&ビューティ部門のメアリーゲイ・マッキー(Marygay McKee)顧問は、現在のところ緊急の予算削減や急な戦略変更をとる予定はないとコメント。「幸運なことに私たちは影響を受けていません。顧客は変わらずついていますし、消費してくれています」。特に、アラブやロシアの安定した顧客に支えになっており、今後も高級ブランドに力を入れる予定だ。

■ボンマルシェ

 ボンマルシェ(Au Bon Marche)のティエリー・ママン(Thierry Maman)は「今年いっぱい様子を見て、損害の程度を見極めます。でも近い未来について悲観はしていませんよ」とコメント。

■危機は終わっても不安は残る?

 レオナール(Leonard)の創立者ダニエル・トリブイアール(Daniel Tribouillard)は、危機は3か月で終わるが、消費者の不安は残ると見ている。プランタンのシャルビも「問題は消費者への心理的影響が、彼らの消費活動に反映される可能性がある点だ」と、同意した。(c)AFP