【東京 31日 MODE PRESS】アニヤ・ハインドマーチ(Anya Hindmarch)のエコバッグは、今年4月の英国発売にを皮切りに、米国、香港、台湾、日本と世界各国で大反響を巻き起こした。一部で警察が出動する騒ぎとなったことを受け、ジャカルタ(インドネシア)や、上海、北京では発売中止に。ロンドンでは、人気ぶりを皮肉ったパロディ版バッグまでもが品切れになった。一時の勢いは収まったといえ、ヤフー・オークションやイーベイなどのネット・オークションサイトでは定価の何倍もの値段で取引されている。なぜこれほどの人気になったのだろうか?

■ウェブ販売にもアクセス集中

 日本でも14日の先行販売、18日の全国販売ともに多くの人が店舗につめかけた。直前にTV番組で取り上げられたことも影響し、伊勢丹新宿本店には開店前の朝7時の時点で3000人以上の列ができた。その模様が、メディアで取り上げられたことで、全国販売はさらに激戦になった。混乱の原因にもなった「先着順」を避け、「抽選券配布」方法に切り替えた松屋銀座では、配布初日に5500人、2日目には6000人が来店した。各店舗とも購買層の中心は20、30代の女性だったが、年配の女性や、男性の姿も多かった。
 
 19日の午前10時から始まったウェブ販売にもアクセスが一挙に集中した。購入画面に繋がった人のほうが稀だった。「彼に頼み込み、パソコン2台で挑戦したが、結局買えなかった」と都内の大学院生。

■セレブとお揃い、実用性とデザイン性にも高評価

 バッグを知ったきっかけとして、海外セレブの名を挙げる人が多い。発売開始に先駈け、女優やモデルたちがバッグを手に買い物する姿が頻繁にファッション誌やネット上に掲載された。

 バッグ2個を手に入れた東京・広尾のOLは「ネットなどで海外での人気を知り、気になっていた。マドンナ(Madonna)やキーラ・ナイトレイ(Keira Knightley)が持っている写真を見て、実際に手に入れたくなった」という。「紀伊国屋のバッグよりシンプルでかわいいし、底のまちもかなりあるから何でも入りそう」。おしゃれアイテムとして使うつもりはなく、実際に買い物袋として使うつもりだという。「いま飼っているトイプードルのワンちゃんを入れてもいいかも」

■日本人の「国民性」にあてはまる商品

 伊藤忠ファッションシステムの川島蓉子さんは、今回のブームについて「日本について言えば、限定モノ、海外セレブ、“袋物”という、日本人の国民性にぴったりとあてはまった商品だった」と語る。また、英国での完売情報や、アジア各国での騒動、そして日本国内での先行販売での人気ぶりと、段階的にTVなどのメディアで取り上げられたことも大きかったと分析する。

■ネット、ブログ上での盛んな情報交換

 ネットやブログ上での口コミ的な情報交換も盛んだった。アニヤのエコバッグ情報のみを扱うサイトやブログもいくつも登場し、発売日にはリアルタイムでの状況報告なども行われた。「こういった動きは、これから他の商品でも増えていくのでは」と川島さん。

■「エコバッグ」の基本コンセプト

 アニヤ・ハインドマーチの店舗には、現在も販売についての問い合わせが後を絶たないという。米国のように、日本でも再販されるのではと期待する人も多い。

 一方で、ネット販売に敗れたという20代の会社員は「オークションでの購入も考えたが、親から『他のバッグでも環境とっては同じじゃないの?』と言われ、少し気持ちが変わった」と語る。現在は、軽量でデザインが可愛いトートバッグを探しているところだという。

 彼女のように、「環境を少しでも改善するために、レジ袋の使用回数を減らす」というエコバッグの基本コンセプトに立ち返る人も増えてくるかもしれない。それならば、今回の騒動にも意味があったと言えるのではないだろうか。(c)MODE PRESS

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