【パリ/フランス 26日 AFP】巨大なファッション市場を持つフランス、イタリア、米国、イギリスの4か国は昨年より論争が加熱する‘痩せすぎモデル問題’に対し、一丸となって取り組む方針を示した。内容は‘禁止や制限’よりも‘認知度、意識の向上’に重点を置いたものになる予定だ。

■各国代表者、積極的な姿勢みせる

 4か国代表会議に参加したフランス・オートクチュール協会(The French Couture Federation)のディディエ・グランバック(Didier Grumbach)会長は「我々は、問題の原因は‘規制’よりも‘情報’にあるという見解で一致した。各国が協力して問題に取り組んでいくことになった。」とコメント。正しい情報提供が拒食症を含む健康問題全般に対する最善策ではないか、という結論だ。

 会議には、フランス・オートクチュール協会の他に、イタリアファッション協会(Camera Nazionale della Moda Italiana)、アメリカファッション協議会(CFDA)、イギリスファッション協会(BFC)から代表が参加した。各国が自国の政府とともにこの問題を積極的に取り組むことを確認。

 昨年11月に拒食症で死去したブラジル人モデルのアナ・カロリナ・レストン(Ana Carolina Reston)さんの一件を機に、青少年の拒食症につながる‘痩せすぎモデル問題’に対する議論が加熱。死亡時のレストンさんは、174cmという身長にもかかわらず体重が39.6kgしかなかったという。また、昨年8月にはウルグアイ人モデルのルイゼル・ラモス( Luisel Ramos)さんもファッションショー後に心不全で死去している。

■英国

 イギリスファッション協会は、文書で「規制の強制執行は、望ましくない。運動と教育を通じてファッション業界が意識改善に力を注ぐことが大切だ」と表明した。モデルに対する体重制限を設ける予定は無いが、代理案として専門家による対策委員会を設置し、健康的な身体像を促進していくとした。

■フランス

 ここ数週間で法的措置を含む様々な対応を進めた他国とは違い、フランスには15年以上前からモデル保護のための規定が存在するという。モデル事務所は政府にライセンス登録することが義務づけられおり、特に16歳以下のモデルは特別な許可書と健康診断が必須とされている。

■米国

 先週ニューヨークでは、アメリカファッション協議会がランウェイ・モデルについて体重制限を設けないと発表した。その代わり、栄養面についての食事教育をモデルに行うよう事務所などに要請する。同協会は、「拒食症をはじめとする複雑な摂食障害は、あらゆる局面から起こり得るものであり、ファッション業界のみの責任ではない。しかし、キャンペーンで、摂食障害の認知と意識向上に協力することはできる」と述べた。

■イタリア

 イタリアでは、昨年12月にイタリア政府側と国内二大ファッション団体が倫理規定に署名し、肥満度指数(BMI値)18を下回る‘痩せすぎモデル’と、16歳以下の‘若すぎモデル’のランウェイ出場を禁止した。これに関連して、厚生省は「健全で豊かな人生を推進する」との声明を発表。

■スペイン

 スペインでも、昨年9月から一定のBMI値に満たないモデルの出場を禁止している。さらに、今週には、「ザラ(Zara)」や)「マンゴ(Mango)」などのアパレルチェーン店をもつインディテックス(Inditex)社がスペイン厚生省の定める‘美の新基準’に賛同すると発表した。
 政府による「店頭ディスプレイ用マネキンのサイズは38号(日本では9号)以上」、「46号(日本では17号)の服を店頭のわかりやすい位置に並べなければならない」など詳細にわたってガイドラインに従うとの意向を表明した。
写真は2006年9月21日に撮影。(c)AFP/PHILIPPE DESMAZES


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