【6月24日 AFP】(一部更新、写真追加)米国人の綱渡り名人、ニック・ワレンダ(Nik Wallenda)さん(34)が23日、米アリゾナ(Arizona)州のグランドキャニオン(Grand Canyon)で、命綱なしでの綱渡りを史上初めて達成した。

 ワレンダさんは、グランドキャニオン国立公園にあるリトルコロラド川渓谷(Little Colorado River Gorge)の上空およそ457メートルの高さに張られた長さ約426メートルのロープを、予想よりも早い22分54秒で渡り切った。最後の数メートルは小走りだった。ワレンダさんによると、風は予想していたよりも強かったという。

 ワレンダさんの挑戦はディスカバリーチャンネル(Discovery Channel)で世界219か国に生中継された。ロープ上に足を踏み出したワレンダさんは「素晴らしい眺めだ。神様、これはすごい」とコメント。続いて「風が強い」と述べ、6分後にもロープ上から「風が予想以上に悪い」と報告した。

 ワレンダさんはマイクとライブカメラ数台を着用して綱渡りに挑戦。カメラの1つは谷底をまっすぐ見下ろすアングルに取り付けられ、ニューヨークの摩天楼エンパイアステートビル(Empire State Building)より高い場所から見下ろすワレンダさんの視界を視聴者に提供した。当初は、綱渡りをしながらワレンダさんが記者の質問に答える計画だったが、スタートして間もなく風が強すぎることが判明した。

 ロープを半ば渡ったあたりで、バランスを取るため身をかがめるシーンも見られた。ワレンダさんは始終祈りの言葉をつぶやいていたが、「ありがとうディスカバリーチャンネル、僕を信じてくれて」と番組に感謝する場面も。

 最後の数メートルは親指を立てて小走りに渡り終えたワレンダさんは、夫人や3人の子どもたちに抱き止められ、「信じてもらえないくらい両腕が痛いよ」と語った。

■計画は4年前から、次の夢はNY摩天楼

 ワレンダさんは昨年、ナイアガラの滝(Niagara Falls)の綱渡りに成功している。グランドキャニオンの綱渡りは4年前から計画し、チャレンジする場所として国立公園東端付近に狙いを定めていた。

 最終トレーニングは数週間前にフロリダ(Florida)州で開始。最大風速22メートルの風を再現する装置を設置し、全長約300メートルのロープの上を繰り返し歩いてスタミナ増強に取り組んできた。

 渡り終えた後、次なる挑戦について問われたワレンダさんは「ニューヨークの高層ビルの間を渡るのが僕の夢だ」と答えた。(c)AFP/Joe Klamar