【8月18日 AFP】仏映画界のスター、ジェラール・ドパルデュー(Gerard Depardieu)が16日、パリ(Paris)発ダブリン(Dublin)行きの航空機内で急に尿意を催し、ビンの中に出そうとして床に漏らしてしまった。目撃者と、同機を運航していた航空会社が17日、明らかにした。

 ドパルデューは16日、映画のロケ地へ向かうため、シャルル・ド・ゴール(Charles de Gaulle)空港発のシティジェット(CityJet)便に搭乗した。目撃者が仏ラジオに語ったところによれば、ドパルデューは明らかに酔っぱらっており、離陸前に「小便がしたい。小便がしたい」と叫び座席から立ち上がろうとしていたという。客室乗務員は、シートベルトのサインが消えるまであと15分間待って欲しいと説明した。

「そのとき、その場で彼は立ち上がり、床にやってしまった。酔っぱらっていたようだ。客室乗務員は、あ然としていたよ」(目撃者談)

 しかし、匿名でAFPの取材に応じたドパルデューの友人らは、本人の説明によればドパルデューは全く酔っぱらってなどおらず、急に尿意を催したので、なるべく隠れてビンの中にするほかなかったのだと反論した。

 友人らは、トイレを利用できるようになるまで15分待つように言われたことについては、事実だと認めた。ドパルデューは納得したが、同機の離陸が20分遅れたため、同乗していた俳優エドゥアール・ベール(Edouard Baer)が空きビンを使うように提案したという。

 床に漏らしてしまったとき、ドパルデューは恥ずかしくて自分で拭こうとした。しかし、乗務員らは機体をターミナルへ戻し、ドパルデューは地上係員によって同機から降ろされたのだと、友人らは説明した。罰金などは科されなかったという。ドパルデューは、次の便でダブリンへ向かった。

 シティジェット広報によれば、ドパルデューが座席に留まることを拒んだため、機長がターミナルへ引き返すことが最善策だと判断したという。乗務員にはドパルデューが酔っぱらっているようには見えず、最初は警察が呼ばれたが、地上係員がドパルデューに付き添ったという。

 同便はこの出来事のため、1時間15分離陸が遅れた。

■航空会社がおふざけツイート

 この女性広報はドパルデューに配慮し、その名前を出すことはなく、あくまでも「機内での1つの偶発事件」として説明したのだが、会社側はマイクロブログ・ツイッター(Twitter)でドパルデューを笑いの種にした。

「ニュースでご存知かもしれませんが、今朝は機内の床を拭くのに忙しいんです」

「我々の機体には、トイレが完備されています」
 
 シティジェットは、これらのつぶやきはユーモアであって公式な立場を反映したものではないと説明している。

 ドパルデューは、仏映画界で恐らく最も有名な俳優で、200本以上の作品に出演。『シラノ・ド・ベルジュラック(Cyrano de Bergerac)』や『グリーンカード(Green Card)』などの作品で海外でも知られている。 1990年に飲酒運転で有罪となったほか、カメラマンに頭突きをするなどの行動が批判されることもあったが、今でも人びとから愛されている。(c)AFP/Gersende Rambourg