【8月16日 AFP】ココ・シャネル(Coco Chanel)は、ナチス(Nazis)のスパイだった――。米国で16日に発売の書籍「Sleeping with the Enemy: Coco Chanel's Secret War(敵と寝る:ココ・シャネルの秘密の戦争)」で、シャネルが第二次世界大戦中、ドイツの占領下に置かれたフランスで、ナチスのスパイ活動を行っていたことが記されている。

 著者ハル・ボーガン(Hal Vaughan)氏は同著で、シャネルが二重生活を送り、ナチスのスパイだったハンス・ギュンター・フォン・ディンクレイジ(Hans Gunther von Dincklage)男爵と愛人関係にあったという長年にわたる証拠を積み上げている。

「この本は、ココ・シャネルがドイツ情報機関のスパイとなった事情、数多くの任務に就いた理由と経緯、戦後フランスでの逮捕を逃れたいきさつをまとめている」。ニューヨーク(New York)の出版元クノッフ(Knopf)は、こう説明する。

 ボーガン氏はさらに、シャネルが独情報機関アプヴェーア(Abwehr)のスパイだったことだけでなく、フォン・ディンクレイジ男爵自らも「ナチスの大物スパイ」だったことを明らかにしている。

「(フォン・ディンクレイジ男爵は)地中海とパリにスパイのネットワークを張り巡らせ、ヒトラーの右腕だったナチスの宣伝相ヨーゼフ・ゲッベルス(Joseph Goebbels)に直接報告していた」

 また、シャネルが過激な反ユダヤ主義だったことも書かれているが、当時ドイツに協力していた数多くの著名人に埋もれ、目立つことはなかったという。

 孤児から革新的なファッションデザイナーとなったシャネルは、戦後スイスに移り、その後パリ(Paris)でファッション業界でのキャリアを積んでいった。いかなる不法行為で逮捕されることもなく、1971年に死去した。(c)AFP