【11月12日 AFP】タカ派の発言で知られる米CNNテレビの有名司会者ルー・ドブス(Lou Dobbs)氏(64)が11日、夜の報道番組の冒頭で出演はこの日で最後だと宣言し、同局を突然辞職した。

 ドブス氏はCNNの草創期に経済ニュースのレポーターとしてキャリアをスタートして以来、30年近くにわたり、同局で報道に携わってきた。最近では単刀直入な語り口で保守寄りのニュース解説を行っていた。

 しかしCNNが、ライバルの米ニュース専門局FOXニュース(Fox News)がもたれているように偏向性があるとみられるのを避けようと、中道の報道姿勢を追求するなか、ドブス氏の見解は度を越していると受けとられることが多かった。

 昨今では不法移民に対する激しい攻撃的発言や、自らのラジオ番組ではバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領の大統領資格に異議を唱える極右の論調を繰り返し論じていることが非難の的になっていた。

 CNN退社後の予定については何も計画していないというドブス氏だが、最終日の冒頭メッセージでは、さらに政治的な活動を深めたい意向をほのめかした。ドブス氏は「この半年間、この国(米国)は変化の強風の打撃を受け、わたしたち全員にその影響が及んでいる。メディア界や政財界のリーダーたちのなかにはわたしに、CNNでの役割を終えて次に進むべきだと言ってくれた人たちがいた。われわれの偉大な自由社会、自由市場経済の精神を復活させるという重要な仕事を担って、国民的対話をけん引していきたい」と述べた。

 CNNのジョナサン・クライン(Jonathan Klein)社長は契約解除に同意した後、ドブス氏について「CNNファミリーの大切な創設メンバーだった。その時代で最も重要かつ複雑な事件を精力的に追いかけ、人々のずっと先頭をいっていた」と声明を発表した。(c)AFP