【9月13日 AFP】ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)露大統領は「フリー記者」ではないので原稿料は支払わないが、その寄稿はニュース性が高いため紙面に掲載した――。米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は12日、シリア軍事介入について警告するプーチン大統領の寄稿を掲載したことについて、このように釈明した。

 NYタイムズは11日、国連安全保障理事会(UN Security Council)の決議なしにシリアを軍事攻撃すれば国連の信用を損なうと警告するプーチン大統領の寄稿を掲載した。これについてNYタイムズの論説担当編集者マーガレット・サリバン(Margaret Sullivan)氏は12日、寄稿掲載が「数々の批判を巻き起こし、大きな騒ぎとなっている」とブログで認めるとともに、経緯を次のように説明した。

 サリバン氏によると、NYタイムズ編集局に11日、プーチン大統領の代理人を名乗る米PR会社が接触してきた。また同時に、露大統領報道官から同紙モスクワ(Moscow)支局に電話があり、寄稿の申し出があった。同紙編集局はその後数時間足らずで、寄稿を論説面に掲載することを決定したという。

 掲載を決めた理由についてサリバン氏は、社説担当編集者のアンドルー・ローゼンタール(Andrew Rosenthal)氏の言葉を引用。一国の首脳というのは意見を表明するための独自の手段を持っており、NYタイムズが特定の首脳から寄稿を受け取ることはめったにない。しかし、今回に限っては「誰もがプーチン大統領の意見をすぐに知りたいと望んでおり」、しかも寄稿の内容が「興味深く、詳細だった」ので掲載したと説明した。

 寄稿の中でプーチン大統領は、安保理決議なしの軍事攻撃は「暴力を増加させ、新たなテロの波を起こして」イラン核問題やパレスチナ問題などをめぐる国際的な取り組みを弱体化させると警告。「そうなれば、国際法そのものが不安定化するだろう」と述べている。

 サリバン氏は、プーチン大統領が実際にこの寄稿を執筆したかどうか確認するすべはないとしつつ、同紙が入手した英語版の原稿は非常に出来が良く、校正の必要はほぼなかったことを明かした。また、同紙では寄稿者に謝礼を出すこともあるが、「プーチン氏には支払われない」と述べた。(c)AFP