インドネシアで日本ブーム、背景に日本企業の攻勢
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【9月5日 AFP】インドネシアの首都ジャカルタ(Jakarta)で、数千人の観衆が見つめる中、力士と力士の体がぶつかり合う音がスタジアム内に響き渡る。先月末、5年ぶりの海外巡業となる大相撲ジャカルタ巡業が開催された。
「相撲が大好き」というジャカルタの大学で日本文学を学ぶジュリアナ・アンティカ(Julyana Antika)さん(22)。相撲についていろいろ調べたというが、本物の相撲を見たのは今回のジャカルタ巡業が初めてだ。
拓殖大学(Takushoku University)から交換留学生としてインドネシアに来ている日本人学生たちに囲まれたアンティカさんは、エンターテインメントや漫画、ファッション、日本食などを通じて近年、インドネシアで著しく増え続けている日本文化通の若者たちの1人だ。
日本語の翻訳アルバイトをしているというアンティカさんは、稼いだお金で日本の雑誌を買い、テレビでは日本のアニメを楽しむ。アンティカさんのデジタルカメラはパナソニック(Panasonic)製、携帯電話はソニー(Sony)製だ。
■日本ブームの背景に日本企業の攻勢あり
欧米で日本文化が受け入れられたのは1970~80年代のことで、インドネシアでの日本ブームは遅れてやってきた感がある。最近のインドネシアにおける日本に対する関心の急速な盛り上がりの背景には、インドネシアが東南アジアでも断トツの景気に沸いていることと、インドネシアを日本企業が新市場と捉え積極戦略に出ていることがある。
日本貿易振興機構(ジェトロ、JETRO)のインドネシア事務所によると、相談窓口を訪れる日本人の数は2年前の約1000人から昨年には4000人に増加したという。
世界最大のイスラム人口を持つインドネシアが長らく続く好景気の波に乗る中、多くの日本企業がなだれ込むように同国に進出している。好景気によって次々と新たな消費者が生み出されているからだ。
さらにインドネシアには若い世代があふれている。人口の40%以上が24歳以下という人口構成が、新たな成長を求める日本企業を引き付ける。日本企業はインドネシア市場を、高齢化や長引く不景気で消費意欲が冷え込んだ日本市場を補完するものとみている。
インドネシアに対する日本の直接投資の本気度は、2010年の7億1260万ドル(約712億6000万円)から12年には25億ドル(約2500億円)へと雪だるま式に膨らんだ投資額を示したインドネシア投資調整庁(Indonesian Investment Coordinating Board)の数字でも裏付けられる。
ジェトロ・インドネシア事務所は、高品質の日本製品を購入する経済的な余裕が現在のインドネシア人にはあると指摘する。
さらに、インドネシアと日本の国交樹立55周年記念イベントとして日本政府の後援で開かれた大相撲ジャカルタ巡業を始め、今週には日本のアニメフェアが開かれるなど、日本のソフトパワー促進戦略がビジネスを後押しする。
インドネシアで日本企業の店舗が増えるにつれ日本関連イベントも増え、これが日本の全てについて知りたいという熱気をインドネシア人の間に呼び起こしている。
あわせてインドネシア人の日本語学習者も増えている。2009年に70万人だった日本語学習者は昨年、87万人を超えた。
■地元企業もブームに乗り好調
日本とは何の関連もないインドネシア企業でも、日本ブームを利用して成功する例が見受けられる。
インドネシアとシンガポールの合弁会社メトロックス・グループ(Metrox Group)は日本のカジュアルウエアから着想を得て、アパレルブランド「Wakai(若い)ライフスタイル」を立ち上げた。ブランド名にはカタカナをそのまま取り入れ、主力製品は日本人がデザインしている。人気の布製スリッポン・シューズのラインアップには日本語がプリントされたものもある。
ブランドマネジャーのアリス・ドウィヤニ(Alice Dwiyani)氏によれば、立ち上げから10か月で損益分岐点に達すると見込んでいたが、3か月で到達できたという。(c)AFP/Angela Dewan
「相撲が大好き」というジャカルタの大学で日本文学を学ぶジュリアナ・アンティカ(Julyana Antika)さん(22)。相撲についていろいろ調べたというが、本物の相撲を見たのは今回のジャカルタ巡業が初めてだ。
拓殖大学(Takushoku University)から交換留学生としてインドネシアに来ている日本人学生たちに囲まれたアンティカさんは、エンターテインメントや漫画、ファッション、日本食などを通じて近年、インドネシアで著しく増え続けている日本文化通の若者たちの1人だ。
日本語の翻訳アルバイトをしているというアンティカさんは、稼いだお金で日本の雑誌を買い、テレビでは日本のアニメを楽しむ。アンティカさんのデジタルカメラはパナソニック(Panasonic)製、携帯電話はソニー(Sony)製だ。
■日本ブームの背景に日本企業の攻勢あり
欧米で日本文化が受け入れられたのは1970~80年代のことで、インドネシアでの日本ブームは遅れてやってきた感がある。最近のインドネシアにおける日本に対する関心の急速な盛り上がりの背景には、インドネシアが東南アジアでも断トツの景気に沸いていることと、インドネシアを日本企業が新市場と捉え積極戦略に出ていることがある。
日本貿易振興機構(ジェトロ、JETRO)のインドネシア事務所によると、相談窓口を訪れる日本人の数は2年前の約1000人から昨年には4000人に増加したという。
世界最大のイスラム人口を持つインドネシアが長らく続く好景気の波に乗る中、多くの日本企業がなだれ込むように同国に進出している。好景気によって次々と新たな消費者が生み出されているからだ。
さらにインドネシアには若い世代があふれている。人口の40%以上が24歳以下という人口構成が、新たな成長を求める日本企業を引き付ける。日本企業はインドネシア市場を、高齢化や長引く不景気で消費意欲が冷え込んだ日本市場を補完するものとみている。
インドネシアに対する日本の直接投資の本気度は、2010年の7億1260万ドル(約712億6000万円)から12年には25億ドル(約2500億円)へと雪だるま式に膨らんだ投資額を示したインドネシア投資調整庁(Indonesian Investment Coordinating Board)の数字でも裏付けられる。
ジェトロ・インドネシア事務所は、高品質の日本製品を購入する経済的な余裕が現在のインドネシア人にはあると指摘する。
さらに、インドネシアと日本の国交樹立55周年記念イベントとして日本政府の後援で開かれた大相撲ジャカルタ巡業を始め、今週には日本のアニメフェアが開かれるなど、日本のソフトパワー促進戦略がビジネスを後押しする。
インドネシアで日本企業の店舗が増えるにつれ日本関連イベントも増え、これが日本の全てについて知りたいという熱気をインドネシア人の間に呼び起こしている。
あわせてインドネシア人の日本語学習者も増えている。2009年に70万人だった日本語学習者は昨年、87万人を超えた。
■地元企業もブームに乗り好調
日本とは何の関連もないインドネシア企業でも、日本ブームを利用して成功する例が見受けられる。
インドネシアとシンガポールの合弁会社メトロックス・グループ(Metrox Group)は日本のカジュアルウエアから着想を得て、アパレルブランド「Wakai(若い)ライフスタイル」を立ち上げた。ブランド名にはカタカナをそのまま取り入れ、主力製品は日本人がデザインしている。人気の布製スリッポン・シューズのラインアップには日本語がプリントされたものもある。
ブランドマネジャーのアリス・ドウィヤニ(Alice Dwiyani)氏によれば、立ち上げから10か月で損益分岐点に達すると見込んでいたが、3か月で到達できたという。(c)AFP/Angela Dewan