【8月12日 AFP】世界金融危機と欧州債務危機によって深刻な景気後退に直面していた欧米の自動車産業が、ここへ来て回復の兆しを鮮明にしている。

■米国は7年ぶり、金融危機以前の水準に

 米自動車市場は7月、低金利とシェールガス、オイルによる「シェール革命」に押され、季節調整済み年率換算(SAAR)で1567万台と過去7年間で最高の販売台数に達し、危機前の水準まで回復した。

 これは2008年のリーマンショックの後、米自動車業界ビッグスリーの2社であるゼネラル・モーターズ(General MotorsGM)とクライスラー(Chrysler)を経営破綻に追い込み、業界全体に大規模なリストラを余儀なくさせた深刻で痛ましい不況からの驚異的な回復といえる。

 残るビッグスリーの一角、フォード(Ford Motor)も先月、GMと共に第2四半期で予想を上回る業績を報告し、またクライスラーは親会社である伊自動車大手フィアット(Fiat)の収益を膨らませている。

■慎重に、徐々に回復する欧州

 一方、債務危機に見舞われた欧州では、工場が閉鎖した場合の失業者の増加を恐れる各国政府が抑制をかけているため、自動車業界の再建は米国よりもずっと遅れてはいるが、やはり明るい兆しが見えている。

 上向きの傾向は今も圧倒的に欧州市場に依存している仏プジョー・シトロエン・グループ(PSA Peugeot Citroen)のような自動車メーカーには大きな効果をもたらすだろう。ただし、経営が行き詰まった金融子会社を実質、政府の援助によって救済された同グループは、金融危機の最悪の事態からは抜け出しつつあるが、新たな資本を調達する計画は現時点ではないという。

 それでも、同グループ以外の、国際市場により重きを置く欧米各社は比較的好調で、仏ルノー(Renault)や独ダイムラー(Daimler)、BMW、フォルクスワーゲン(VolkswagenVW)などは堅調な第2四半期決算を発表している。

 だが、アナリストや業界は今年の欧州市場について、すでに低迷状態だった昨年からさらに5%近く落ち込むだろうと覚悟している。(c)AFP/Laure FILLON