【8月17日 AFP】ゴルフUBS香港オープン(UBS Hong Kong Open)の開催地として知られる高級コース、香港ゴルフクラブ(Hong Kong Golf Club)が、香港特別行政区議会で公営住宅のための再開発候補地として挙げられている。

 英植民地下で1889年に「ロイヤル・ホンコン・ゴルフ(Royal Hong Kong Golf)」の名で創設された香港ゴルフクラブは、 英国とアイルランド以外で最も古いゴルフクラブのひとつ。3コース54ホールで、使用は2500人の会員に限られ、一般が使用する場合は1ラウンド250ドル(約2万4000円)の費用がかかる高級コースだ。

 しかし2020年にリース契約が満了することから、住宅不足の香港で2014年初頭からの着手が計画されている「ニュータウン」開発に土地の一部を提供するよう、行政府に迫る動議が先ごろ可決された。

 香港では17万人以上の住民が、狭いアパートの部屋をさらに分割した中に詰め込まれるようにして暮らしている。土地の供給は不足しており、また中国本土からの資金流入で住宅価格の高騰は加速するばかりだ。行政府は近年、地元の買い手以外への住宅転売コストを引き上げるなど対策に乗り出しているが、集合住宅をさらに建設する必要性に変わりはない。

 議会に動議を提出した議員12人の1人、張超雄(Fernando Cheung)議員は「何故、選ばれた少数の者の娯楽のために、人々の福祉を犠牲にしなければならないのか。住宅問題のほうが、ゴルフをすることよりもずっと、ずっと優先順位が高いはずだ」と語った。

 一方、香港ゴルフクラブを支持する側からは国際的な商業ハブ、香港にとってプロゴルフトーナメントの開催は重要であり、現ゴルフ場の敷地に住宅が建設されれば「ビジネスフレンドリー」な香港のイメージに傷が付くと主張している。香港ゴルフ協会(Hong Kong Golf Association)のイアン・バレンタイン(Iain Valentine)会長は「世界の国際都市のほとんどにはゴルフコースがあるが、ヨーロピアンツアーやアジアツアーの大会が行われるところは少ない。これは香港にとって非常に重要だ。もしも(香港ゴルフクラブの)コースがなくなれば香港で『香港オープン』を開催できる場所は他にないのは明らかだ」と述べた。(c)AFP/Dennis Chong