【8月5日 AFP】英金融大手HSBCは、英国駐在外国外交官の口座を閉鎖するとして、外交官に預金を60日以内に移動させるよう通知していることが、4日の報道で明らかになった。

 この決定にバチカンを含め40以上の大使館や領事館が影響を受けているといわれており、外交団の間に「大混乱」が起きていると伝えられている。

 HSBCの肩代わりを他の銀行が拒否したため事態はいっそう深刻化し、英外務省は外国外交官が新しい銀行口座を作れるよう支援に乗り出した。

 英国駐在領事を代表する領事団(Consular Corps)のバーナード・シルバー(Bernard Silver)氏は英大衆日曜紙メール・オン・サンデー(Mail on Sunday)に、「大使館と領事官には銀行が必要不可欠だ。ビザやパスポートの料金を受け取るだけでなく、職員の給与支払いや賃貸料、さらには(ロンドンの道路の)渋滞税の支払いにも必要だ」と語った。

 HSBCによると、今回の決定は「国際的結合性、経済開発、採算性、費用効果、流動性」の5つの基準による事業顧客に対する評価の一環だという。AFPの取材に対し、HSBCの広報担当者は、2011年5月以来この評価を行っており、大使館も例外ではない、と述べた。

 HSBCは昨年、マネーロンダリングでメキシコの麻薬カルテル、テロリストやイラン当局などへの不正送金を防げなかったとして、罰金19億ドル(約1900億円)を支払うことで米国当局と合意している。

 メール・オン・サンデーは、HSBCはマネーロンダリング(資金洗浄)事件に巻き込まれたため、大使館に関わるのが怖くなったのだというある外交官の発言を伝えている。(c)AFP