【6月6日 AFP】たばこを吸う従業員を雇用した場合、吸わない従業員と比べて1人当たり年間6000ドル(約60万円)近くの追加費用が発生するとした米国の研究結果が、3日の英専門誌「タバコ・コントロール(Tobacco Control)」に掲載された。

 喫煙者の場合、健康問題による欠勤や、たばこ休憩による生産力の低下、医療費の増加などにより、多くの追加費用がかかるという。

 米オハイオ州立大学(Ohio State University)の公衆衛生学部とモリッツ法学部(Moritz College of Law)に所属するミカ・バーマン(Micah Berman)氏率いる研究チームは論文で「喫煙者の雇用による超過費用は、最良推定値で年間5816ドル(約58万円)になる」と述べている。この数値の計算には、喫煙者は非喫煙者よりも若い年齢で死亡する傾向があるため、年金費用が約296ドル(約2万9600円)少ない点も考慮されている。

 チームは、喫煙者と非喫煙者の雇用をさまざまな側面から比較した先行研究に基づき調査を行った。

 チームの推定値によると、年間労働日数232日の職場で、罰則なしのたばこ休憩を1日2回、15分ずつとった場合、金額に換算して年間3077ドル(約30万7000円)の生産性が失われる。

 また医療費の面で見ると、喫煙関連の健康問題は医療費全体の8%を占めており、雇用主が従業員に健康保険を提供している場合、喫煙者の保険費用は非喫煙者に比べて2055.77ドル(約20万5000円)高くなるという。

 論文によれば、米国では多くの雇用主が、より高い保険料を喫煙者に課したり、非喫煙者しか雇用しない方針を明言したりしている。中には、与えられた期間内に禁煙しなかった従業員は解雇すると脅す例もあるという。

 同論文は「喫煙関連コストに関する正確な推定値なしでのこうした方針は、独断的あるいは不合理にも思える。しっかりとした論拠に基づく推定値によってこそ企業は、こうした『非喫煙者雇用』方針に関するいっそう公正な費用便益の分析が可能になる」と指摘している。(c)AFP