【5月31日 AFP】香港(Hong Kong)の金融街にある米コーヒーチェーン大手スターバックス(Starbucks)店舗が、トイレ脇にある蛇口から採取した水道水でコーヒーを入れていた事実が判明し、利用客から怒りの声が上がっている。

 この店舗は、香港島のランドマークともなっている中国銀行タワー(Bank of China Tower)内に入っている。2011年10月の開店からずっと、飲料用の水は化粧室内の水道の蛇口から取っていたという。

 香港紙「蘋果日報(Apple Daily)」は、薄汚れた化粧室内の便器からわずか数メートルの位置にある「スターバックス専用」と書かれた蛇口の写真を掲載した。同紙によると、この化粧室は中国銀行タワーの駐車場にあるという。

 報道を受け、SNS最大手フェイスブック(Facebook)のスターバックス香港のページには、「全くもって失望した!最初からトイレの水道水を使うと決めていたという点から、客の心身の健康へのスターバックスの配慮のほどが知れる」「これからはスターバックスでコーヒーを買うたびに不安になる。他の店舗だって同じことをやっているかもしれない。恐ろしい!」などのコメントが書き込まれた。

 スターバックス広報のウェンディ・パン(Wendy Pang)氏はAFPの取材に、中国銀行タワーの支店について、毎日4回ほど従業員が店舗近くの化粧室で水道水をくんでいると認めたうえで、利用している蛇口は飲料水専用だと弁明した。

 この店舗では店内に水道設備がないため、店から最も近い水道を利用するほかないという。また、水はろ過して使っており世界保健機関(World Health OrganisationWHO)の基準を通っていること、現在は蒸留水を使っていることも明らかにした。

 しかし香港大学(Hong Kong University)公衆衛生大学院のベンジャミン・カウリング(Benjamin Cowling)准教授は、「トイレの環境から病原菌がスターバックス店内の調理場に持ち込まれた恐れがある」と懸念を表明している。(c)AFP