【5月30日 AFP】フランスの石油大手トタル(Total)は29日、同社が石油とガスの営業権確保のためにイラン政府高官を買収したとされる疑惑で、起訴を免れるために罰金など3億9820万ドル(約403億円)を支払うことで米当局と合意した。

 一方、米国と共同で捜査にあたっていたフランスの検察当局は、同社とクリストフ・ドマルジェリ(Christophe de Margerie)社長を、フランスの贈収賄法に違反した罪で起訴する方向で動き始めた。

 1990年代に起源をさかのぼるこの贈賄事件について、米司法省は、米国で大きな影響力を持つ企業による外国での贈収賄を禁止する「海外腐敗行為防止法(Foreign Corrupt Practices ActFCPA)」に違反したとして、トタル社に計2億4520万ドル(約245億円)の罰金を科すと発表した。

 さらに、米証券取引委員会(Securities and Exchange CommissionSEC)は、ニューヨーク証券取引所(New York Stock ExchangeNYSE)の米国預託証券として株が取引されている同社に対し、イランでの不当利得の吐き出しのため、罰金1億5300万ドル(約155億円)を科した。

 トタル社は、石油やガス田の開発権を取得するため、1995~2004年に仲介者を通してイラン政府高官に計6000万ドル(約61億円)ほどの賄賂を支払ったとされる。(c)AFP/Paul Handley