【5月19日 AFP】沿道の大気汚染が深刻な香港(Hong Kong)で18日、初めて電気自動車(EV)タクシー45台が登場した。

 真っ赤なEVは、米国の著名投資家ウォーレン・バフェット(Warren Buffett)氏も出資する中国の電気自動車メーカー、比亜迪汽車(Build Your Dreams AutoBYD)が生産した「e6」。BYDの発表によると、このモデルは5ドアのクロスオーバー車で、リン酸鉄電池を使用。フル充電まで2時間が必要で、最大走行可能距離は充電量100%で300キロメートル。

 EVはタクシーとマイクロバスの業界団体、香港的士小巴商総会(Hong Kong Taxi and Public Light Bus Association)が借り受け、向こう6か月にわたって試験的に使用する。同会の王仲強(Wong Chung Keung)会長によると、EVに切り替えることで燃料費を抑制することができ、運転手の収入増加が期待できるという。通常のタクシーは走行距離1キロメートルあたりのコストが0.8香港ドル(約11円)だが、EVなら0.2~0.3香港ドル(約3~4円)に抑えられるという。

 ただし王会長は、より多くの運転手にEVへの切り替えを奨励するためには充電スタンドの増設が必要だと訴えている。BYDは今後、駐車場近くの充電スタンド9か所に47台の充電器を設置する計画だ。

 年間3000人以上の住民が大気汚染関連の疾患で死亡していることが香港大学(University of Hong Kong)の研究で明らかになったことを受け、香港政府は2012年1月、大気汚染の環境目標を25年ぶりに見直している。(c)AFP