【5月8日 AFP】世界貿易機関(World Trade OrganizationWTO)は7日、2008年からブラジルのWTO大使を務めていたロベルト・カルバーリョ・デ・アゼベド(Roberto Carvalho de Azevedo)氏(55)を次期事務局長に選出した。

 WTOの事務局長選挙に詳しい関係者によると、アゼベド氏が決選投票でメキシコのエルミニオ・ブランコ(Herminio Blanco)元商工振興相を破った。アゼベド氏は、国際経済貿易分野で豊かな経験を持つ信望の厚い外交官。正式発表は、加盟国が集まって次期事務局長選について話し合う8日に行われる予定。

 アゼベド氏は、これまで2期8年にわたって事務局長を務めてきたフランスのパスカル・ラミー(Pascal Lamy)氏の後継者として、9月1日に新事務局長に就任する見込み。

 先にアゼベド氏はAFPに対し、「もし私が次期事務局長に選出されれば、ブラジルの国益やそれに類するもの、またブラジルの貿易政策を擁護するつもりはない」と語っており、WTOのトップになれば自国の利益は二の次になることをはっきり認識していると強調した。

 その一方で、新興国から事務局長が選出されることの象徴的な意味は認めている。WTOが1995年に設立されて以降、事務局長がニュージーランドとタイから選出された期間を除けば、トップは常に欧州出身者が務めてきた。アゼベド氏は、「加盟国は一般に、地理的および開発水準的に見て、自分たちの代弁者がトップに就いていると感じられるシステムをより信頼してくれると思っている」と話している。

 アゼベド氏は、既婚で2人の娘がいる。WTOの公式言語である英語・フランス語・スペイン語を流ちょうに話す。(c)AFP/Gerard Aziakou