【4月23日 AFP】「小さな政府」の理念を資金的に援助していることで名高い富豪実業家、チャールズ・コーク(Charles Koch)とデビッド・コーク(David Koch)両氏が、米国の複数の主要紙の買収を検討していると、米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)が21日、報じた。

 ニューヨーク・タイムズ紙によると、コーク兄弟が所有するコーク・インダストリーズ(Koch Industries)社は、経営悪化に苦しむトリビューン・カンパニー(Tribune Company)の所有するロサンゼルス・タイムズ(Los Angeles Times)、シカゴ・トリビューン(Chicago Tribune)、ボルティモア・サン(Baltimore Sun)、オーランド・センチネル(Orlando Sentinel)、ハートフォード・クーラン(Hartford Courant)などの新聞社の買収を検討している。

 コーク・インダストリーズは、米シンクタンク「ケイトー研究所(Cato Institute)」など、リバタリアン的理念を掲げる団体多数を支援している。またコーク兄弟は、政治団体「アメリカンズ・フォー・プロスペリティ(Americans for Prosperity)」の創設にも携わっている。この団体は、超保守派のティー・パーティー(Tea Party)運動が掲げる理念の多くを支持しているが、両団体に公式なつながりはない。

 買収が実現すれば、米国内の発行部数において過去最大規模の新聞買収となる。

 70億ドル(約6900億円)規模のメディア複合企業でテレビ23局も所有するトリビューン・カンパニーは、近年経営難に苦しんでおり、破産法適用から脱却した昨年末以降、出版部門の売却を行っている。

 ロサンゼルス・タイムズ紙は発行部数で全米4位、またシカゴ・トリビューンは第9位だ。他にも、スペイン語日刊紙の「ホイ(Hoy)」も買収検討の対象になっているとみられる。(c)AFP