【4月15日 AFP】英国放送協会(BBC)が15日に放送する予定の北朝鮮に関するドキュメンタリー番組で、リポーターが英ロンドン大学経済政治学院(London School of EconomicsLSE)の学生訪問団に紛れ込んで北朝鮮を訪問し、極秘取材を行っていたことが明らかになった。大学側は学生の身を危険にさらしたとして番組の放送中止をBBCに強く求めているが、BBC側は断固放送する構えだ。

 問題となっているのは、BBCの調査報道番組「パノラマ(Panorama)」枠内で15日に放送予定の「North Korea Undercover(北朝鮮潜入)」と題したドキュメンタリー。

 LSEが13日に職員や学生に電子メールで説明したところによると、同番組リポーターのジョン・スウィーニー(John Sweeney)氏は3月、LSEで国際関係を学ぶ学生たちが組織した北朝鮮訪問団に、歴史専攻の博士課程学生を装って参加し、入国を許可された。

 LSEによれば、学生たちはジャーナリストが同行する可能性があると聞かされてはいたものの、同行を認めるだけの十分な情報は知らされていなかった。また、大学当局もBBCからこの潜入取材について何の説明も受けていなかったという。

 大学側は、スウィーニー氏が実はジャーナリストだということに北朝鮮当局が気付けば、学生たちの身に「深刻な危険」が及ぶ恐れがあったとして、BBCを強く批判。LSEの名声と今後の学究的活動に深刻な不利益をもたらすとして、番組の放送中止を求めている。

 一方、BBC側は、学生を危険にさらした事実はないと反論。BBC広報はAFPの取材に、学生たちには覆面ジャーナリストとともに北朝鮮を訪問する危険性について事前に十分理解してもらっており、逮捕されたり身柄を拘束される恐れや、北朝鮮への再入国を拒否される可能性についても説明してあったと述べた。スウィーニー氏が実際に博士課程学生だと身元を偽ったかどうかは明らかにしていない。

 パノラマのウェブサイトによると、ドキュメンタリー番組「北朝鮮潜入」は、スウィーニー氏が身元を隠して「地球上で最も厳重な管理体制が敷かれた国」で8日間を過ごした中で目撃した、「筆舌に尽くしがたい荒涼とした風景、3世代に渡り洗脳された人々、嬉々として核戦争へと突き進む素振りを見せる体制」などの記録だという。(c)AFP