【4月7日 AFP】南太平洋の島国サモアのサモア航空(Air Samoa)が昨年11月、乗客の体重と荷物の重さ、飛行距離に基づいて運賃を決める制度を導入していたことが、このほど明らかになった。

 AFPの取材に応じた同社のクリス・ラングトン(Chris Langton)最高経営責任者は「体重の重い人は軽い人より運賃が高くなりますが、それでも最も公平な運賃制度だと認識してくださっています」と述べ、あらゆる体重層の利用客から好意的な反応があったと述べた。

 同社はこの運賃制度をまず国内線で導入し、太平洋の島しょ国への国際線にも拡大している。運賃は国内線で1キログラム当たり約1.32タラ(約57円)、サモアから米領サモアに行く便で1キログラム当たり3.8タラ(約164円)。トンガ王国とクック諸島への便でも年内に同様の運賃制度を導入する予定だという。同社は客席数10席の航空機2機と4席の航空機1機を運航している。

 ラングトン氏は、特に家族連れの旅行者にとってお得だと言う。航空業界で一般的な、11歳以下の乗客は大人運賃の半額になる運賃制度では、11歳を超えると一気に大人料金になってしまうからだ。

 旅行代理店での予約では重量120キログラムに相当する一律料金が設定されているが、効率的な運航のためになるべく早く正確な重量を把握するよう努めているという。

 世界保健機関(World Health OrganizationWHO)が2007年に出した報告によると、サモアの都市部では肥満率が75%にも上る。ラングトン氏は、体重に基づく世界初の運賃制度の導入は、人々が肥満についてよりよく理解する上で役に立ったと話している。

 これまでのところ、この運賃制度を導入しているのはサモア航空だけだが、ラングトン氏は「人々はこの制度を求め、航空会社は導入を検討せざるを得なくなる」と述べ、他の航空会社が追随するのは時間の問題だという見方を示した。(c)AFP