【3月12日 AFP】仏原子力大手アレバ(Areva)のリュック・ウルセル(Luc Oursel)最高経営責任者(CEO)は、東京電力福島第1原子力発電所事故から2年となる11日、原子力に対する世論の信頼は回復したと主張した。

 ポーランドのワルシャワ(Warsaw)で記者団に対し、「信頼の回復を目の当たりにしている」とウルセルCEOは述べ、さらに「欧州では、原子力に反対する国よりも支持する国がどんどん増えている」と主張した。この発言に、真っ向から対立するのはドイツのペーター・アルトマイヤー(Peter Altmaier)環境相だ。同氏は1月初め、福島原発事故を受けて原発全廃を決定したドイツ──欧州最大の経済国──が原子力エネルギーに戻ることは2度とないと語っていた。

 福島原発事故後、アレバは世界各地の原発の安全性を強化する「セーフティー・アライアンス(Safety Alliance)」プログラムを立ち上げており、ウルセルCEOは、「福島以後の主な展開の一つは、安全部門における協力体制の強化だった」と主張している。

 ウルセル氏のポーランド訪問は、同国でこれから始まる原子力発電に注力するためのもの。ポーランドは電力の90%を石炭による火力発電に依存しており、温室効果ガス排出削減のための代替エネルギーとして2024年までに2基の原発建設を目指している。近日中にこのプロジェクトの公開入札が行われる見通しだ。

 AFPが5日に入手した国際原子力機関(IAEA)の最新報告書によると、2011年に福島第1原子力発電所の事故の影響で減少した世界の原発の発電量は、12年には再び増加に転じている。

 ポーランドの原発施設の建設には、フランス電力(EDF)、アレバ、米ウェスチングハウス・エレクトリック(Westinghouse Electric Company)、GE日立ニュークリアエナジーアメリカズ(GE Hitachi Nuclear Energy Americas)など複数の原子力大手企業が関心を示している。(c)AFP