【3月3日 AFP】米ミシガン(Michigan)州のリック・スナイダー(Rick Snyder)知事は1日、同州のデトロイト(Detroit)市は財政上の非常事態にあるとして、同市を州政府の管理下に置く用意があることを明らかにした。

 住民の大半が黒人で民主党支持者が多いデトロイト市について共和党所属で白人のスナイダー知事がこう発言したことに対し、激しい批判や人種差別だという指摘も出ている。しかしスナイダー知事は非常事態の宣言と人種問題との関連性についての質問には回答を避け、緊急財政管理者の任命は民主主義の終わりを意味するものではないと述べた。

 緊急財政管理者には、市の行政部局の廃止や労働契約の変更、市が保有する資産の売却、公的なチェックを受けたり住民の意見を聴取したりせずに条例等を改正する権限が与えられる。

 これに対し、デトロイト市は10日間以内に不服の申し立てを行うことができるが、最終的な判断は知事に委ねられる。また、緊急財政管理者は就任から1年6か月後に評価を受けることになる。緊急財政管理者の候補はまだ明らかにされていない。

 ミシガン州知事室は同市の財政を州の管理下においても必ずしも破産を避けられるとは限らないと警告している。デトロイト市が破産すれば、米国史上最大の自治体破綻となる。

 かつて全米で第4位の規模を誇ったデトロイトだが、現在の人口はおよそ71万3000人と180万人だった1950年の半数以下に減っている。公民権運動によって高まった人種間の緊張と、1967年に起きた壊滅的な暴動によって、白人や中流層は郊外へ流出。企業もそれを追って移転していったため市の課税基盤は一層縮小した。税収が減った市は行政サービスを縮小せざるを得ず、転出する人はさらに増加した。

 放棄された高層ビルや工場、住宅は景観を荒涼としたものに変え、市内には犯罪が横行している。夜になっても点灯させられない街灯さえある状況だ。(c)AFP/Mira Oberman