【1月18日 AFP】ドイツ連邦銀行(Bundesbank、中央銀行)は16日、冷戦時に米国とフランスに移していた金の一部をドイツに戻すことを決めたと発表した。ドイツ連銀は金準備をきちんと把握していないという批判を受けていた。

 ドイツ連銀の金準備は3400トン近くと、米連邦準備銀行に次ぎ世界第2位だが、冷戦時にソビエト連邦に侵攻された場合に備えてその大半が国外に移されていた。東西ドイツが統一された1990年まで、ドイツ連銀が保有する金の98%が国外で保管されていた。

 だが「鉄のカーテン(Iron Curtain)」が終わりを迎えて以降、ドイツ連銀は既にイングランド銀行(Bank of England、英中央銀行)で保管していた金のうち約900トンを本国に戻している。

 16日に発表された新たな保管計画では、仏パリ(Paris)のフランス銀行(Banque de France、仏中央銀行)に374トン保管されている金準備の全てと、米連銀に保管されている分の5分の1弱に当たる300トンを本国に移管する。

 これにより、フランクフルト(Frankfurt)にあるドイツ連銀の保管庫に置かれる金準備の割合は、2020年までに現在の31%から50%に増えることになる。

 移管の時期や方法は明らかにされていないが、発表を行ったドイツ連銀幹部は、ドイツ連銀にはこのような厳重な警備を要する移送を行うための「豊富な経験がある」と話している。

 移管が完了すれば、ドイツ連銀の金準備のうち、37%が米連銀に、13%がイングランド銀行に残ることになる。(c)AFP/Simon Morgan