【12月15日 AFP】カナダの石油・ガス会社ネクセン(Nexen)が、中国企業による外国企業の買収では過去最高額の150億ドル(約1兆2500億円)で買収されることが決まり、外国企業の買収に積極的な中国にとって大きな前進となる一方で、資源や市場の確保に向けた中国の精力的な動きを不安視する風潮も強まっている。

 カナダ政府は先週、国内での政治的な反発を押し切り、中国国営エネルギー企業、中国海洋石油(China National Offshore Oil CorporationCNOOC)のネクセン買収計画を承認した。

 CNOOCは7年前、米石油・ガス生産会社ユノカル(Unocal)の買収に動いたが、米政府の激しい反発を受けて断念を余儀なくされた経緯があるだけに、CNOOCにとって今回の勝利は特に「甘い」ものとなった。

 中国政府は10年前から、国際競争力のある人材の養成や、エネルギー・原材料の供給確保のため、国内企業の国外進出を促進し、好景気の維持に努めてきており、今回の大型契約はこうした取り組みの成果の現れだ。

 中国企業による合併・買収(M&A)は、2008年に始まった世界金融危機によって世界中で資産売却が続くなかで活発さを増してきた。法律事務所のスクワイヤ・サンダース(Squire Sanders)によると、05年から11年の間に、中国企業による外国企業買収は3倍の177件に、買収額では5倍の630億ドルに拡大した。

 こうした中、米議会の委員会は10月、中国通信機器大手の華為技術(Huawei)と中興通訊(ZTE)の機器がスパイ行為に使用される恐れがあるとの理由から、政府を通じた取引から2社を除外するべきだとの見解を示した。

 中国の新華社(Xinhua)通信は、今回のCNOOCによるネクセン買収に乗じ、「西側列強」の不公平さと保護貿易主義を強く非難している。「一部の西側政府や西側メディアは中国の投資家に対し、資金力のある略奪者やスパイ集団との烙印(らくいん)を押している。中国からの投資に対して恐怖症を患っている西側列強は、まず中国企業に対する偏見を捨て、政治家ではなく企業家にビジネス上の判断を任せるべきだ」

(c)AFP/Bill Savadove