ノーベル経済学賞受賞者が教える最も良い結婚相手を決める理論
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【10月17日 AFP】「独身者の最適なパートナー選び」は2012年のノーベル経済学賞受賞者、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(University of California Los Angeles、UCLA)のロイド・シャプレー(Lloyd Shapley)名誉教授(89)とハーバード大学(Harvard University)のアルビン・ロス(Alvin Roth)教授(60)の研究テーマの1つだ。
経済学者であり数学者のシャプレー氏は、1960年代にハーバード大の同僚のデビッド・ゲール(David Gale)氏と共に、需要と供給の最適化を抽象レベルで分析した。この理論には、実践的な応用例があった。
ノーベル経済学賞の選考機関、スウェーデン王立科学アカデミー(Royal Swedish Academy of Sciences)によれば、シャプレー氏とゲール氏は「この理論の例証の一つに結婚を用い」、男女10人ずつを各自の好みを尊重しながら最適に組み合わせる方法を考察した。
その解法は、全員に自分の好みのパートナーを与えることはできない。なぜならば複数の男性が同じ女性を好むし、複数の女性が同じ男性を好むからだ。代わりに、「受入保留」(deferred acceptance)として知られる理論のおかげで、全員の最大の利益となるカップルを形成することができた。
■最も良い結婚相手を決めるには
まず第1ラウンドで、男性全員が自分が最も妻にしたいと思う女性にプロポーズする。複数の男性からプロポーズを受けた女性は、そのうち1人の男性のプロポーズを受け入れる。1人の男性からだけプロポーズされた女性もそのプロポーズを受け入れる。誰からもプロポーズされなかった女性は次のラウンドを待つ。
次に第1希望の女性にプロポーズを断られた男性たちが第2ラウンドへ進み、第2希望の女性にプロポーズする。第1ラウンドですでに他の男性のプロポーズを受け入れている女性も、独身として第2希望の女性に含めることができる。
こうして男性たちの希望リストが最後の女性に至るまで、この手順を繰り返す。途中、女性のほうは前のラウンドでプロポーズを受け入れていても、次のラウンドでプロポーズしてきた男性のほうが自分にとって好ましければ、前の婚約を解消できる。最終的に全員がパートナーを獲得する。
スウェーデン王立科学アカデミーは、シャプレー氏とゲール氏によって、この演算手順(アルゴリズム)が常に安定した組み合わせ(マッチング)をもたらすことが数学的に証明されたとしている。
ただし、このアルゴリズムは平等性の問題を解決しない。男性側がプロポーズしていった場合には、女性よりも男性にとってより好ましい結果となり、女性の側からプロポーズしていった場合にはその逆になるからだ。
純粋に理論的なこのアルゴリズムは経済学の学生たちにとって古典的な存在となった。しかし、王立科学アカデミーによれば「実世界での妥当性が認識されたのはもっと後」であり、この理論を実践応用し、臓器移植での提供者と患者の組み合わせや、医学実習生と研修先の病院の組み合わせなどに適用したのが、今回のもう1人のノーベル経済学賞受賞者、アルビン・ロス氏だった。(c)AFP