【10月2日 AFP】8月16日に賃上げスト参加していた労働者34人が警官に発砲されて死亡した南アフリカ・マリカナ(Marikana)のプラチナ鉱山の労働争議を調査する国の調査委員会が1日、初の会合を行った。
 
 事件のあった鉱山から少し離れた所にあるルステンブルク市民センター(Rustenburg Civic Centre)で行われたこの日の会合は、1分間の黙とうと真実を明らかにするとの宣誓で始まった。

 調査委は、8月10日のスト開始から争議終息までの間に警察や政府当局、鉱山、労働組合、鉱山を所有する英資源大手ロンミン(Lonmin)の関係者らがどのような行為を行ったのか厳しく調べていく。ジェイコブ・ズマ(Jacob Zuma)大統領が指名した委員らによる調査は4か月を要するとみられている。

■アパルトヘイト後の警察の発砲としては最も多い死者

 数週間続いた争議で警官2人を含む46人が死亡し、70人以上が負傷したが、世界中に衝撃を与えたのは8月16日の事件の生々しい映像だ。

 映像は1994年まで続いたアパルトヘイト時代の残虐行為をほうふつとさせるもので、やりや山刀を手に重装備の警官隊に向かっていく鉱山労働者と、銃を連射する警官が映し出された。

 銃撃で立ち上った砂ぼこりが収まった後には、多くの血まみれの死体が現れた。負傷して瀕死(ひんし)の状態の労働者もいた。この銃撃はアパルトヘイト(人種隔離政策)撤廃後の警官の発砲によるものとしては最も多い死者を出した。

 この事件で起訴された警官は1人もいなかった。その一方で、スト参加者や鉱山労働者ら約270人がアパルトヘイト時代の
「共同目的の原則(Common purpose principle)」により逮捕され、殺人罪で集団起訴されたが、起訴は後に取り下げられた。(c)AFP/Johannes Myburgh