【9月9日 AFP】フランス政府が富裕層の所得税率を75%とする方針を示している中、世界長者番付4位で、高級ブランドグループのモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(Moet Hennessy Louis VuittonLVMH)最高経営責任者(CEO)であるフランス人実業家ベルナール・アルノー(Bernard Arnault)氏(63)は8日、自身がベルギー国籍を申請したと伝えたベルギー紙の報道内容を認めた。ただアルノー氏は、増税回避が国籍申請の目的だとの見方を否定し、フランス国籍を維持する意向を強調した。

 ベルギー議会関係者が同国紙リーブル・ベルジック(La Libre Belgique)に語ったところによると、同国の法律は国籍申請条件として少なくとも3年間の居住実績を規定しており、それがない場合はベルギーとのつながりを証明することを義務付けている。同紙は、アルノー氏が現在パリ(Paris)在住である一方、自宅はブリュッセル(Brussels)にあると伝えている。

 アルノー氏の広報事務局は「アルノー氏の納税居住地はフランスであり、この点は今後も同じ」との声明を発表し、増税回避の可能性を示唆した報道内容を否定。「フランスとベルギーの二重国籍を保持することになっても、同氏のこうした立場に変化はない。あるいは、増税で危機にさらされるLVMHグループの発展や、フランス国内の雇用創出を追及する同氏の意志が変わることはない」と明言した。

 フランスのフランソワ・オランド(Francois Holland)大統領が今年の選挙運動で掲げた主要公約の1つに、年収100万ユーロ(約1億円)を超える個人所得に対する75%の税率適用があり、現在議論の的になっている。(c)AFP