【9月5日 AFP】米ファストフード大手マクドナルド(McDonald's)は4日、肉を全く使わないベジタリアン向けの店舗を2013年半ばにインドでオープンさせると発表した。牛肉を使用したビックマックなどのハンバーガーで有名な同社にとって初めての試みだ。

 ベジタリアン向け1号店はインド北部のアムリツァル(Amritsar)にあるシーク(Sikh)教の総本山、黄金寺院(Golden Temple)近くにオープンする予定。この寺院では肉を食べることは宗教上の理由から禁じられている。

 インド北部のマクドナルドの広報担当者、ラジェッシュ・クマール・マイニ(Rajesh Kumar Maini)氏はAFPに「ベジタリアン向けレストランを開くのはわれわれにとって初めてとなる」、「インド人にはベジタリアンが多いため、こうしたレストランの展開には大きなチャンスがある」と語った。

 アムリツァルに続き、ヒンズー教の巡礼地であるインド北西部のカシミール(Kashmir)地方ヴィシュヌ・デヴィ(Vaishno Devi)の寺院の近くにもう1店舗を構える計画だ。

■各地の嗜好に合わせたメニュー

 世界各地に店舗を持つマクドナルドは現地の嗜好(しこう)に合わせたメニューを提供している。インドでは、人口12億人の80%を占めるヒンズー教徒は牛を神聖視し、イスラム教徒は聖典コーラン(Koran)の中で豚肉を食べることを禁じられているため、牛肉や豚肉を使わないメニューを開発することになる。

 インドのマクドナルドのメニューは現在、半分がベジタリアン向けになっている。スパイスの効いたジャガイモのパテを挟んだMcAloo Tikkiバーガーは全体の売上の4分の1を稼ぐトップセラー。鶏肉のみを使用した商品の中では、マハラジャ・マック(Maharaja Mac)も売れ筋となっている。

 マイニ氏は「(マクドナルドは)世界全体で3万3000店舗近くあるが、インドでは271店舗だけ。現時点ではインドはまだ非常に小さな市場だ」と述べつつ、「ただ、インドの潜在性に目を向けると重視すべき国の1つに挙げられることから、市場をつかむための土台作りを進めているところだ」と説明した。(c)AFP