【8月17日 AFP】金利不正操作問題で金融業界の信用は失墜し、ユーロ危機の影響はじわじわと広がる――そんな英国で、独自の通貨を発行して地元経済を活性化しようとしている大都市がある。南西部の大都市ブリストル(Bristol)が9月19日に導入する「ブリストル・ポンド(Bristol pound)」は、市内の加盟企業・商店でのみ利用できる地域通貨。美術館から惣菜販売店まで地元企業から加盟の申し込みが殺到しており、市は導入時期を当初予定の5月から4か月先延ばして準備をととのえているという。

 ブリストル・ポンド紙幣は1、5、10、20ポンドの4種。地元ゆかりの19世紀の女性宗教作家ハンナ・モア(Hannah More)や一部がブリストルで開発された超音速旅客機コンコルド(Concorde)、市内で毎年開催されるセントポールズ・カーニバル(St Paul's Carnival)など、ブリストルならではの図柄がデザインされている。

 5ポンド紙幣の裏面には、反骨精神にあふれたブリストル歴史を反映し、壁に「ああ自由よ!(O Liberty!)」と書くトラの絵が描かれている。

 地域通貨を採用している英国の自治体は他にもあるが、人口50万人規模の大都市ではブリストルが初。利用範囲も格段に広く、加盟企業は地方税をブリストル・ポンドで納入できるほか、市職員1万7000人は給料の一部をブリストル・ポンドで受け取ることも可能になるという。

 ただ、ブリストル・ポンドは法定通貨ではないため、通常の英ポンド紙幣への交換はブリストル信用組合を通さなければならない。その際には3%の手数料が必要となる。(c)AFP/Judith Evans